HACCP12手順とPRPについて知っておきましょう。

HACCPとは

食品は、農場から食卓まで多岐にわたる管理が必要であるため、農場、工場、加工所、レストラン、スーパーなどそれぞれのセクター毎に複数の食品衛生管理規格が存在しています。また、気候や食習慣の違いにより、地域毎にも異なった衛生基準があります。
そのなかで、最も国際的に普及している規格が、アメリカで開発されたHACCP(ハサップ)システムです。

HACCPとは、「Hazard Analysis Critical Control Point/危害分析・重要管理点」の略。食品の生産から消費者の口に入るまでのすべての段階で「予測される食品危害」を分析し、その中で「危害を重点的に管理するポイント(重要管理点:CCP)」を定め、適切な管理を行うことで危害を防ぐことを目的としています。

HACCP12手順

HACCPにおける危害管理は7つの手順(7原則)で実施し、7つの原則を実施するための準備段階として5つの手順があります。これがHACCP12手順です。

手順1~5はハザード分析のための準備

  1. ハザード分析を行う「HACCPチーム」を編成する
  2. 製品情報や原材料情報等を整理する
  3. 使用目的を特定する
  4. 製造工程などの業務の流れ(工程図)、管理方法、配置図等を整理する
  5. 工程図を現場検証する

手順6~12はハザード管理のための手順

集めた情報をもとに、どの工程でどんな危害が発生するかを明確にし、結果の重篤性や起こりやすさなどから優先順位を評価し、 評価結果に基づき食品安全危害の管理手段を決定します。

  1. 危害分析 工程ごとに発生の恐れがある危害を洗い出す(フローダイアグラム)
  2. 重要管理点(CCP)の決定 特に管理すべき重要なポイントを明確にする
  3. 管理基準(CL)の設定 各重要管理点の管理基準を設定する
  4. モニタリング方法の設定 各重要管理点の管理基準が遵守されているかどうかを監視する
  5. 改善措置の設定 管理基準を超えている場合の是正方法について決める
  6. 検証手順の設定
  7. 記録保存と文書化方法の設定

そもそも食品は管理が不十分だと危険なものになることがわかっています。
常温で放置しておくと菌が増える、常時置きっぱなしにしたり、むき出しで置いておくと虫が入る、微生物による汚染や医薬品が混入したりするなど、何らかの問題が起きることが危害(ハザード)です。

このようなハザードが発生することは予想できるため、過去の発生の割合や頻度を通じてリスク評価(ハザード分析)を行い、「アルコールで洗う」「ナフキンは消毒液につける」「手洗いを徹底する」「冷蔵庫に保管する」「カバーをかけて異物が入らないようにする」など、あらかじめ対策をとって適切に管理することで事故を防止することが、HACCPの目的です。

PRP(前提条件プログラム)

HACCP12手順だけでは不十分なので、食品安全の(基本)となる前提条件プログラム(PRP)を構築する必要があります。
例えば手洗い、消毒、従業員の教育、衛生、害虫管理などの基本的な衛生管理がPRPです。

HACCPシステムを構築する際は、自社に適したGMPを選択し、それに基づいて自社の衛生標準作業手順(SSOP:Sanitation Standard Operating Procedures)を定めます。

  • GMP(Good manufacture Practice)とは、実施すべき衛生管理の項目(適正製造規範)のこと。
    以下をはじめ、国や業界が定めた複数のGMPが存在する。
  •  - アメリカ:cGMP
  •  - 日本:一般衛生管理事項
  •  - 製粉製品:AIB など
  • ※GMPは国際的にはGHP(Good hygiene Practices)と呼ばれることが一般的。

CODEX

HACCP12手順は、1962年FAO(国連食料農業機構)とWHO(世界保健機構)によって設置されたCODEX委員会によって定められました。
CODEXは、Codex Alimentarius(コーデックス・アリメンタリウス)の略で、ラテン語で「食品基準」の意味です。消費者の健康を守り、世界共通の基準を設定することによって食品の貿易の公正化を図ることを目的としています。