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ISO14001の目的目標はどのように考えるか

ISO14001の『環境目標』はクールビズ?

ISO14001では、環境保護のために何らかの活動を行なうことが求められています。

環境のためにこういうことをしよう!と決めたことを、『環境目標』として設定するのですが、コピー用紙をムダにしないこと、電気はつけっぱなしにしないこと、クールビズによる室温の管理などを『環境目標』とするケースがあります。

例えば、クールビズ。「ネクタイをはずす」ファッションを、クールビズと銘打って政府が奨励していますが、その目的は、厚着して室内の温度を下げるのではなく、薄着して温度を少しでも上げるためです。

特にISO14001に取り組んでおられるところは、クールビズを奨励したり、エアコンの温度を下げる 、といった活動を行なっているのではないでしょうか

ある組織では、全館のエアコンの温度を28度に設定し、「クールビズ」を奨励していました。
ところが、パソコンなどの電化製品の熱や、人の体温などがこもり、実際の室温は30度をはるかに超えていました。
あまりに暑いので、各自「マイ扇風機」を用意し、結果として省エネにはつながらなかったとか…。

「省エネ」を目的とした温度設定、クールビズのはずが、いつの間にか本末転倒になってしまうことは、多々あります。

「ルールを決めて、それを守りさえすればいい」という意識だけで止まり、何のためにそのルールがあるのか、そのためにはどうすれば一番効果があるのか、それを忘れてしまうと、上記のようなことが生じてしまいます。

確かにそういった活動も大事なことです。
が、それらの活動は会社としての「目標」ではなく、社会人としての「常識」ではないでしょうか。

エアコンの温度を28度に設定するのは、会社が決めたから、という「ルール」ではなく、地球環境のために「私ができること」として一人ひとりが取り組むようになることが、本来の環境活動です。


日常管理とプロジェクトとしての環境目標

環境活動は、組織に押し付けられて行なうのではなく、本当は一人ひとりが考えるべきことです。
本来、「省エネ」という目標は組織がわざわざ設定すべきことではないはずです。

環境活動の第一段階では、小さな環境活動から始めてもよいでしょう。

まだ社員に環境意識が浸透していない会社では、いわゆる『紙、ゴミ、電気』の節約を、社員に教育していきましょう。。

といっても、「電気を消しましょう」「裏紙を使いましょう」と言うだけでなく、社員一人ひとりが「何のためにその活動を行なうのか」を理解し、「自分がすべきこと」として意識できるよう『自覚教育』を行なうことが必要です。

これが『日常管理』として定着したら第2段階へ進みます。

ISOに取り組んで2、3年経ったら 、第2段階として『組織として意味のある目標』を定める方向に持っていきましょう。

そもそも、海外では「紙、ゴミ、電気」だけを目標とすることに、かなりの違和感があるようです。
組織が定める環境目標は、単なる全社的な「スローガン」として日常的な環境活動を行うことではなく『プロジェクト』的な性格を持ったものである、とされています。

『プロジェクトとしての環境活動』を考えるために、ここでは「節電」を例にとって考えてみましょう。

たとえば、環境目標を決める際、「年間計画表」などに書き込むことがあります。
「昼休憩は消灯する」
という目標を決めたら、いつからいつまで誰が責任を持って実行するか、といったことを矢印で書き込んだりします。

毎年このような目標を決め、電気の使用量を、最初の年は10→9にし、翌年は9→8にする、などと設定します。

しかし、単に「減らすこと」を目標とすると、いつの間にか「何のために環境目標を決めるのか」を忘れて、「減らすこと」が目標になってしまいます。

実は、電気の使用量を減らすのは、難しいことではありません。
機械を稼動させることで電気の使用量が増えるなら…稼動させなければよいのです。
つまり、働かなければ電気も減らない。簡単でしょう? 
…というわけにはいきません。

そんなことをすれば、会社の経営状態が危なくなってしまいます。
「環境のため」と言いながら会社が滅びてしまったら意味がありません。

プロジェクトはスマートに

たとえば、全社として、今年の環境目標は電気の使用量を「8→7」にしよう、と決めたとすると…。
全ての部署が、同じように「8→7」というのは、難しいはずです。

たとえば、日中ほとんど人がいない「営業部」は、電気を消すことで「ムダをなくす」ことができますが、「事務部門」には電気が必要です。
さらに、「製造部門」になると、いくら省エネが大事だといっても、機械を動かすためには電気を使わないわけにはいきません。
つまり、「省エネ」の意味が変わってくるのです。

環境目標を設定する際、『SMART』というキーワードが使われることがあります。

SMART・・・
 ・Specific  (その部門特有のテーマ)
 ・Measurable (達成できたかどうかが判定可能)
 ・Achievable (到達できる)
 ・Realistic (現実的に出来る)
 ・Timely   (一定の期間内で達成できるもの)

※『SMART』の単語については諸説ありますが、ここでは上記の用語を使用します。

「電力の削減」は、電気の使用量などで「一定期間の結果を判定」できるし、現実的な目標だともいえますが、「Specific」については、ちょっと弱いと思われます。

ここが肝心なところです。
全社上げて「電気は消しましょう」という目標を定めるのではなく、『部署ごと』によりプラスになる環境目標を決め、活動する意味を考えることが必要です。

ISO14001に取り組んだからといって、全ての部署が判で押したように同じ目標に向かって頑張る必要はありません。
現実問題として、それは不可能なはずです。


業務の流れを見直して目標達成

では、実際に電気をなるべく削減するためにはどうすればよいでしょうか。
と考えると…やはり「働かない」のが一番です!

とはいえ、先ほども書いたように、働かない、つまり『残業などせず、作業時間を短縮する』と、電気は削減できても、生産量まで落ちてしまいます。

しかし、裏を返せば、残業しなければ効率が落ちるような生産計画を立てているのではないでしょうか。
いきなり「電気を消す」という結論を目標とするのではなく、少しでも作業効率をよくすることをまず考える。
すると、残業もなくなり、電気の使用量も減ります。

「なぜ、これだけの電気を使うのか」
「なぜ、廃棄物がこれだけ出るのか」

業務の流れを見直し、ムダが出る理由をしっかり考えていくことも、プロジェクトとしてのISO14001への取り組みのひとつです。

ISOは、単なる形式上の「資格」ではなく、会社がよくなるためのシステムです。
経営あっての環境目標ですから、目標のための『目標』、数値上だけの『達成』は意味がありません。
環境、環境といいながら、会社の業績が悪化するようでは、意味がありません。
環境を大切にしつつ、業務はしっかり行ない、利益も上げていく、そこまで考えるということが、ISO14001を『プロジェクト』として考えるということです。



    2015年版のISO 9001・14001の構築のコツなど、ISOについてのQ&Aはこちらへ

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