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『支援』について(資源・力量・認識・コミュニケーション・文書化した情報) 
(ISO 9001:2015 『7.支援』)

『資源』から『支援』へ

ISO 9001:2015『7.支援』は、2008年版での『6.資源』に加え、『5.5 内部コミュニケーション』『4.2 文書』『7.6 監視機器および測定機器の管理』がまとめられたものです。

従来の『資源』では、マネジメントシステムを維持するために必要な『人(力量』『インフラストラクチャー』『作業環境』を明確にする、といったことが要求されているのみでしたが、まさにシステムをどっしりと『支援』するための総力が結集された形になりました。
マネジメントシステムを運用するために必要なスキルやノウハウ(資源)を明確にし、守るべき知恵、伝承すべき技術が整理され、非常にわかりやすくなりました。

とはいえ、順序が整理されてわかりやすくなっただけで、一つ一つの内容は2008年版と比べて大きく変わったわけではありません。
既にISO9001を構築している企業の場合、改めてすべきことは特にありません。

しかし、ここで大切なのは、まさに『順序』です。

ISO9001:2008では、要求事項の序盤(4.2)で『文書化』という項目があるため、まずは何でも手順を作り、それを皆で共有していくという流れになっていました。
しかし、これが文書や手順書が実情と合わない要因となっていました。

そこで今回の改定では、手順書よりも先に『必要な資源を整理した上で、必要に応じて手順書にする』、つまり、まずは業務に必要なスキルを明らかにし、そのスキルをどのようにノウハウとして管理していくべきかを明らかにする、という順序に変更されました。


『スキル』を『ノウハウ』にするために

もともとISOマネジメントシステムは、個人の『スキル(技能)』を組織の『ノウハウ(技術)』に高めていくための仕組みです。

例えば、おいしい料理を作ることができるのはスキル(技能)、そのレシピを作りスタッフ全員が作れるようにすることがノウハウ(技術)といえます。
すなわち、情報を共有して、会社の財産として利用できるようにします。
レシピをを共有する手法として『手順書(文書化した情報)』が求められています。

一方で、ノウハウには『機密情報』という一面もあります。
文書化したものを厳密に保護する必要があるのはこのためです。
このため、ただし、この点が強調されすぎたために『ISO=文書管理』という弊害も出てきました。

また、すべてのスキルをノウハウにすること(文書化)は現実には不可能です。
文書化しなくても共有可能なスキルをどのように取り扱うかがISOでは不明瞭でした。

文書化する必要のあるものは「組織が必要と考えたもの」です。
今回の改定ではここがわかりやすくなりました。

具体的に要求事項に沿って、順序を見ていきましょう。


◆資源を明確にする(7.1)

プロセスを管理する上で必要な『人々(7.1.2)』『インフラストラクチャー(7.1.3)』『プロセスの運用に関する環境(7.1.4)』『監視用および測定用の資源(7.1.5)』を、まずは明確にします。

さらにここで『組織の知識(7.1.6)』を明確にすることで、個々のスキルを会社として守るべき共通のノウハウとして管理していきます。

組織にとって「必要な資源」を用意することは当たり前のことです。
しかし、「本当に自社にとって必要な条件が整備されているか」を確認する、つまり「適切な資源がなければ何も始まらない」ということを理解し、きちんと実施できている企業は、どのくらいあるでしょうか。

営業からシステム整備、サービス提供、アフターフォローを含め、トータルで最もよいパフォーマンスを追及するためにも、資源は重視すべきです。

例えば、新サービスを打ち出すにあたり、

・既存のインフラで十分に対応できるのか
・問合せに適切に対応できるようにスタッフの教育は十分なのか
・説明資料に不備がないのか

などを十分に確認し、足りないもの(適切な資源)を準備できているか見直してみましょう。



◆力量を明確にする(7.2)

力量とは個人の能力ではなく、知識(ノウハウ)どおりに実施できる『業務に必要な力』のことです。
職制等によって、同じ業務を進める際にも身につけるべき能力は異なります。
それらを明確にした上で、そこに到達するために教育を行う仕組みを作ります。


◆力量を身につけるための教育を行う(7.3)

ノウハウどおりに実施できるために教育を行います。
技能そのものだけでなく『自分はなぜこの仕事をする必要があるのか』をひとり一人が自覚できるようにすることが、マネジメントシステムにおける教育です。
このため、ISOでは『認識(Awareness)』という言葉を使っています。
マネジメントシステムは「全員参加」が基本。どこかの部署は関係ないということは、ありえません。 従業員一人ひとりが、リーダーの掲げた目標達成のためには自分たちに何ができるのかを考えます。


◆理解しているかどうかをコミュニケーションを通じて確実にする(7.4)

社内でのコミュニケーション活動を通じて認識を促すために、その方法を取りまとめます。
ISOのために会議を行うのではなく、業務をスムーズに行うためというイメージで、いわゆるホウレンソウを確実に行うとが求められます。
今までは、とりあえず会議という形が多かったのですが、実態にあった内容になったと言えるでしょう。
会議を行う場合はその役割を明確にします。


◆これらを文書化する

ここまで整理したところで、文書化です。
今回の改定では、文書に対する負担が極力減らされ、『文書』『記録』はひとつになりました。


■まとめ

今回の改正では、とにかく『流れ』を重視している印象です。
要求事項は、より実際の業務の流れに沿うようになり、何も考えずにISOの規格どおりにシステムを構築するだけで、スムーズに業務が行われるようになった、といえます。

ただし、『なぜこの順序なのか』を理解しておくと、マネジメントシステムに対する理解も高まります。
単語一つ一つの解釈ではなく、全体の流れのなかで何が求められているのかを考えることが大切です。
『ISOで何をすべきなのか』ではなく、『なぜすべきか』を考えて取り組んでみましょう。





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ISOの認証取得、運用のために




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