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適用範囲はどのように決めるか(4.3)


『適用範囲』の原則

ISOの認証取得に当たって、例えば本社の他に事業所がある場合、または製造部、営業部、事務部門といくつかある場合、どの範囲を『適用範囲』とするか──。
よく受ける質問です。

また、すでにISOを取得済みで移行を考えている組織の方からも、2015年版では適用範囲について新たに項目が作られたことから、どのように設定すればよいのか、現在取得している範囲ではダメなのか、といった相談も良く受けます。

そもそもISOを取得すると決めたら、全サイト、全部署で取り組むのが原則です。
「会社の仕組みは1つである」というマネジメントシステムの考え方から、一部の製品やエリアだけを適用範囲にすることは望ましくありません。全社で取り組むなら全製品及びサービスで取り組むべきです。


2008年版の考え方

とはいえ、2008年版では、ISOを組織全体に対して実施するか、または組織の特定の事業単位に対して実施するかは、組織が自由に決めることができました。

むしろ、事業プロセスの中のどこに適用させるのかは経営戦略の一環だったため、一部の部署(製造プロセスのみなど)を適用範囲として、総務や経理等の他のプロセスは除外するといった取り組みも可とされていました。
例えば「清涼飲料水の製造・販売(本社工場のみ)を適用範囲とする」のように、組織の目的、実態に合わせて組織が自ら決めることができました。


2015年版の考え方

では、2015年版ではどうなったかというと、結論としては、従来と同様に適用範囲を組織の判断で決めることが出来ます。
2015年版の内容が確定するまでの過程では、「適用除外は認めない」とされていた時期もあり、それは一つの理想と言えますが、現実的には適用範囲に含まない部署や工場等があっても構いません。
ただし、従来とは少し考え方を変えた方がよいでしょう。


◆適用範囲を決定する際考慮すべきこと

着目していただきたいのは、適用範囲は以下の項目を考慮した上で決定すべきであることが明示されたことです。

・内部および外部の課題
 人材不足などの社内の課題、高齢化などの社会の課題などが、組織にどのような影響を与えるかを考慮する。

・利害関係者のニーズと期待
 顧客から求められている、あるいは今後もと求められるであろう製品やサービスを考慮する。

・製品およびサービス
 強化したい製品やサービスを考慮する。

「B製品は簡単に取得できそうだから、B製品だけだけ認証取得したい」
「品質、技術、製造しか関係ないため、事務部門を組織や活動からはずそう」
と単純に決めることはできません。

例えば、ある会社で「人材育成」という課題があり、顧客からもニーズがあるとします。
この場合、「製造部だけ」を範囲に定め、営業部を除外したとすれば、内部・外部の状況および、顧客のニーズに応えたとは言えません。

営業部を除外するのが悪い、という話ではありません。
除外した「根拠」が、組織の課題や利害関係者のニーズに照らし合わせて明確でないことが問題です。


根拠を「説明」できるように

根拠を明確にしなくてはならないと言うことについて、要求事項にはこう書かれています。
「この規格の要求事項を適用できない場合には、それを正当とする理由について文書化する」

根拠なく「B製品だけ認証取得したい」というのは望ましくありません。
適用対象となる製品およびサービス、または適用除外の範囲が妥当であることを示すため、審査機関によっては『4.1』『4.2』を踏まえて適用範囲を選んだという設定根拠(文書)が求められることもあります。

「文書化」というと、また書類が増えて面倒だとか、「審査で指摘されないよう形だけの文書を用意しておこう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

けれど、なぜ2015年版ではここまで根拠の明確化を求めているか、考えてみてください。

外部、内部の状況を踏まえて適用範囲を決定することは、組織に存在する弱みを強みに変え、組織を取り巻くリスクを機会に変えるために欠かせないからです。

組織としての状況やニーズを把握するのは、経営状態を決めるときに必ずやっているはずです。
我が社の製品はこのような理由で伸びる理由があるということを、しっかり把握しておくのは当然のことです。

『適切な適用範囲を定める』ことで、『自社は何を目指すのか』を明確にすることが求められていると言えます。







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