組織の意図した結果、それを達成するための課題、組織を取り巻く利害関係者のニーズ… 組織がすべきことを整理していきましょう。

4.1 組織の状況(抜粋)

組織は、その目的及びその戦略的な方向性に関連し、その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

組織とは、「自らの目標を達成するため,責任,権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ,個人又はグループ」(3.2.1)と定義されています。
「自らの目標」とは、組織の「意図した結果」のことです。「意図した結果」を認識し、それに対して「何をすべきか(課題)」を明確にします。

組織の「意図した結果」とは何か地域売上げNo1、地域に必要とされる企業など
それを実現するために必要なものは何か専門知識をもったスタッフ、イントラネットなど
実現を阻んでいるのは何か人材不足、技術力が低い、資金が足りないなど
現状を打破するために何をすべきか計画的な人材育成、他社との技術提携、制度融資の活用 など

意図した結果を達成するには、まず自社の状況(課題)を深く知ることが重要です。
組織の内部、外部、それぞれの課題をピックアップしてみましょう。

内部(社内)にはどんな強みや弱みがあるのか。
 →それらの強みはどのように活かし、弱みはどのように克服するか。
外部(社外)からはどんなよい影響、悪い影響を受けるか。
 →それらの影響に対し、自社はどのように対処していくか。

外部及び内部の課題はやみくもに挙げるのではなく、必ず以下の視点でピックアップしていきます。

  • 組織の目的及び戦略的方向に関連しているもの
  • 組織の品質マネジメントシステムにおいて、意図した成果の達成に影響を与えるもの

課題は組織によって異なりますが、「確かにこれは自社の課題だ」と認識できるものであること。皆さんが納得できる範囲、仕事をする上でベンチマークとして生かせる範囲で考えてみましょう。

    外部から受ける影響を自社の課題として認識する

    現在は特に困ったこともないから、別に自社の状況など把握しなくてもいいし、社外のことも気にしなくていい……と思っていたとしても、世の中はどんどん変化していきます
    日本の人口が1899年の調査開始以来初の自然減、個人情報保護法の施行、ドラえもんの声優が一斉交代…というのが2005年の出来事ですが、これらは10数年後、常識になっています。人口が減らない未来を当然だと考えたり、個人情報をぞんざいに扱ったりといったことは、完全に時代遅れです。
    そしてそれは、組織にとってリスクにもなります

    リスクとは、地震や労災といったことだけでなく、組織を取り巻くすべての「変化」のことです。
    組織を知ることは、変化というリスクから組織を守るための最大の武器になります。

    4.2 利害関係者のニーズや期待の理解(抜粋)

    組織は、利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し、レビューしなければならない。

    意図した結果を達成するために、組織の都合だけで取り組んでもうまくいきません。組織を取り巻く利害関係者に目を向けることが求められます。
    利害関係者とは、顧客、製品のエンドユーザー(消費者)、供給者、従業員、 株主、銀行、周囲の住民等のことです。

    組織を取り巻く様々な立場の人々は、組織に対して様々な要求や要望を抱いています。どんな要求があるのか、利害関係者のニーズや期待を理解し、適切にコミュニケーションしていくことが、企業の価値観を高め、組織を存続することにつながっていきます。

    例えば、組織の「意図した結果」と顧客のニーズが異なっているのであれば、組織の方向性を修正するか、または新たな顧客を開拓するかといった選択を行う必要があります。

    組織の課題や利害関係者を明確にすることで、「自社は何を目指すのか(意図した結果)」が浮かび上がってきます。
    適用範囲(ISOを構築する範囲)を定める際には、「意図した結果を達成するために必要な部署や部門」で考えましょう。外部及び内部の課題はやみくもに挙げるのではなく、必ず以下の視点でピックアップしていきます。