FSSC 22000とは? ISO 22000とは違うFSSC 22000の独特の構成について知ろう

FSSC 22000とは

FSSC 22000とは、食品安全マネジメントシステムの1つです(Food Safety System Certification)。
オランダのFFSC(The Foundation of Food Safety Certification:食品安全認証団体)が、ISO 22000とISO/TS 22002シリーズ(旧:PAS 220)を組み合わせて開発した規格です。
世界規模で食品安全対策に取り組むため、世界中の全分野に普及させることを重要な目的としており、フードサプライチェーンの中に存在する多くの食品安全規格を網羅しています。

FSSC 22000は『GFSI』の認証スキーム

GFSI(Global Food Safety Initiative)とは、イオン、コカコーラ、ウォルマート、英テスコ、仏ダノン等、世界の流通・食品大手約 650社が加入する組織(CGP:Consumer Goods Forumが策定)のこと。
GFSIでは、自社の取引先のレベルを一定以上であることを確実にすることを目指し、認証スキーム規格の取得を求めています。
FSSC 22000は、GFSIが取引先に認証を求めている規格(認証スキーム規格)の1つです。

GFSI

FSSC 22000の規格構成

FSSC 22000 ver5.1の規格構成は以下の通りです。

  • ISO 22000:2018
  • ISO/TS 22002シリーズ
  • 追加要求事項(Ver5.1)※2024年4月よりVer.6.0へ

上記に加えて、要求事項ではありませんが、FSSC 22000の「利害関係者委員会の見解」が推奨事項として定められています。

FSSC 22000の取り組み方は、ISO 22000とほぼ同じです。
ISO 22000との違いは、FSSC 22000の方がすべき項目がより具体化されていることです。

FSSC 22000のPRP(前提条件プログラム)

PRP(前提条件プログラム)の内容について、ISO 22000では各社が自由に前提条件プログラムを選ぶことができますが、FSSC 22000では、ISO/TS 22002シリーズ(旧 PASシリーズ)を利用することになっています。

ISO 22000(8.2.4項)のPRPは11項目及びその他の計12項目で構成されています。
一方、ISO/TS 22002シリーズでは15項目になっており、いくつかの内容が補完、追加されています。
ISO/TS 22002シリーズで保管、追加されている主な項目を解説します。

再加工、製品のリコール手順

ISO 22000の「8.9 修正、安全でない製品の取り扱い、製品回収」の内容を補完する要求事項。
ただし、ニュアンスが若干異なります。ISO 22000(8.9)では、「組織はCCPの許容限界を逸脱した場合、またはオペレーションPRPを逸脱した場合」と記載されています。これを解釈すると、CCPやPRPなど特別な箇所を逸脱した場合、と読み取れます。ただし実際は、特別な箇所だけでなく不具合があれば製品回収するのが普通です。
ISO/TS 22002シリーズでは、あらゆる状況における再加工やリコールについて対処しよう、といったことが求められています。

ISO 22000の「8.9」は、ISO 9001の「8.7」に該当するものが、「8.9.2」「8.9.4」「8.9.5」に分割されたもので、かつ、取り組むべき事象が限定された内容になっています。そこで、ISO/TS 22002シリーズでは、ISO 9001の「8.7」に近づけるべく、取組の範囲を全般的なものに広げています

フードディフェンス、バイオビジランス、バイオテロ

フードディフェンス(食品防御)とは、製品を外部からの(意図的な)攻撃から守ることです。ISO 22000等では、食の安全を「守る」と言葉として「フードセーフティ」という用語が使われています。
しかし、ISO/TS 22002シリーズでは、自社で気をつけているにもかかわらず、外部からの悪質な攻撃(倉庫に忍び込まれて製品に有害物質を混入させられた など)にあうことを想定して、このような項目が追加されています。

FSSC 22000の追加要求事項

FSSC 22000では、全業種に適用される項目と、カテゴリー別に適用される項目があり、これらに取り組むことも要求されています。

全業種に適用される項目

  • 2.5.1 サービス及び購買材料の管理
  • 2.5.2 製品ラベル
  • 2.5.3 食品防御
  • 2.5.4 食品偽装の予防
  • 2.5.5 ロゴの使用

カテゴリー別に適用される項目 ( )内はカテゴリー番号

ISO/TS 22002シリーズは、業種によってカテゴリに分かれており、ISO 22000規格要求事項(8.2.4)を満たすためガイドラインとして使用することができます。

  • 2.5.6 アレルゲンの管理(C、E、F1、G、I、K)
  • 2.5.7 環境モニタリング(C、I、K)
  • 2.5.8 製品の配合(D)
  • 2.5.9 輸送と配送(F1)
  • 2.5.10 保管・倉庫保管(すべてのカテゴリ)
  • 2.5.11 交差汚染防止のためのハザード管理及び手段(C、I)
  • 2.5.12 PRP検証(C、D、G、I、K)
  • 2.5.13 製品開発(C、D、E、F、I、K)
  • 2.5.14 健康状態(D)
  • 2.5.15 マルチサイト認証組織のための要求事項(A、E、F1、G)
業種ISO 22002の種類
食品製造・加工業(C)、ペットフード製造(犬猫用)(DⅡa))、化学製品製造(K)ISO/TS 22002-1
小売・卸、ケータリング(E)、外食ISO/TS 22002-2
農業ISO/TS 22002-3
容器包装(I)ISO/TS 22000-4
輸送・物流・サービスISO/TS 22000-5
飼料(DⅠ)、ペットフード製造(犬猫以外)(DⅡb))ISO/TS 22002-6
ISO/TS 22002シリーズのカテゴリ

※FSSC 22000の適用範囲としては、食品製造(C)、飼料・ペットフード(D)、ケータリング(E)、容器包装製造(I)、化学製品製造(K)のみとなっている。