本ページでは、日本のHACCP認証規格「JFS」の仕組みと取り組み方、各種食品安全規格について解説しています。
食の安全を、国際標準の衛生管理システムで守る
日本では、衛生管理の考え方等の普及により食中毒の発生件数は減少傾向にあります。しかしながら、一定の水準で高止まりしているのが現状です。
その理由の一つは、手洗い等の従業員の衛生管理や食材の保管等の一般衛生管理の考え方が普及していないためです。
これに加え、高齢化が進む中で食中毒事故の増加が懸念されています。
また、食品の国際的な流通が広がったことから、各国の衛生基準が異なっていると流通が阻害されるという問題が発生しています。
食の安全のため、国際標準をベースにした衛生管理システムを構築することは必須となっています。
JFSとは(JFS-A、JFS-B、JFS-Cの仕組みと取り組み方)
HACCPへの取組や認証取得については、各組織の任意とされています。
しかし、2018年に『食品衛生法等の一部を改正する法律案』が公布され、HACCPに沿った衛生管理が制度化されることになりました。これによって、すべての食品等事業者は、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められるようになります。
食文化は国によって異なるため、世界標準の管理基準を定めることはできません。各国にHACCPは存在していますが、日本では自治体の定めたHACCP、業界のHACCP等、様々なHACCPが存在していました。
このため、HACCP法制化に向けて、認証規格の一つとしてJFS(Japan Food Safety)が生まれました。
JFSでは管理レベルごとに3つのランクがあり、自社の規模や目的に応じて取り組めるようになっています。
すべての食品事業者がHACCPシステムを導入するのが望ましいのですが、組織の規模や業種によっては、HACCPを確実に整えるのが難しいこともあります。
そこでJFSでは『HACCPに基づく衛生管理』もしくは、『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』で対処することとなっています。

JFS-A
小規模の食品事業者にとって、いきなりHACCP認証に取り組むのはハードルが高いため、HACCP12手順のうち、1~5を整えるところから始めます。
JFS-B
その他一般の食品会社は、ISO 22000やFSSC 22000などの食品安全マネジメントシステムに取り組むことにより、HACCP12手順を組織のシステムに組み込みます。
JFS-C
国際的な取引がある食品企業は、GFSI承認基準に対応した取り組みを行うことが求められます。
HACCP・ISO支援センターは、アイムスと提携している監査機関です。
参考資料:その他の食品安全規格
GAP(Good Agriculture Practice)
1998年に米国で提唱され、欧米などで普及が進む。安全で衛生的な農産物を流通させるため、農家は病原微生物の農産物の付着防止や農薬の適正使用などを守り、合わせて文書で記録を残し続ける取り組み。HACCP同様、国によって異なる(J-GAP、Global GAPなど)
SQF(Safe Quality Food)
1990年代半ば、オーストラリアの州政府が開発。2003年、約2300社で組織するFMI(ワシントン)が米国で広めるために所有権を獲得した。一次生産者、食品製造、販売セクターが対象。
畜産、水産業など30分野ごとにわかりやすく規定が設けられており、農家や中小企業も認証取得を目指しやすいといわれる。 製品、プロセス、サービスが法規制、基準、HACCP規格に合致していること及び、食品サプライヤ―の生産、加工、出荷における高い水準を保証する。「HACCPの12手順」に「品質側面」という考え方を加えたもので、衛生管理レベルでは最高レベルのものが要求される。
BRC/IOP Packing
イギリスのBRC(英小売協会・British Retail Consortium)が発行した「パッケージング」に関する規格。流通における食品包装に関する内容が中心になっている。外部から異物混入がしにくくするためのガイドラインがまとめられている。(※日本語での審査は行われていない)
IFS
ドイツとフランスの食品小売業界団体(HDEとFCD)が発行した規格。プライベートブランドを扱う食品加工業を対象として、安全性をモニタリングするためのもの。EU経済統合をにらみ、食品流通に一定の歯止めをかけることを目的としている。店頭で販売する食品の安全性に対し、企業は具体的にどのような貢献をするか、ということを求めている。(※日本での認証は行われていない)
※規格の内容、状況等は変化する可能性があるため、本ページに記載した情報は最新のものではないことがあります。