「達成できる目標」の立て方と、目標を実行する方法を知っておきましょう。

6.2.1 品質目標の確立(抜粋)

品質目標は、次の事項を満たさなければならない。
 a)品質方針と整合している
 b)測定可能である
 c)適用される要求事項を考慮に入れる
 d)製品及びサービスの適合、並びに顧客満足の向上に関連している
 e)監視する
 f)伝達する
 g)必要に応じて、更新する

リスク及び機会の考え方

すべてのリスクに対応するのはムリ! 実現可能な対策を決めよう

組織の課題やあるべき姿に対して、ネックになる原因を整理し、リスクおよび機会を特定したら、それらを解決するための対策(計画)を立てていきます。

とはいえ、全ての状況に対して完璧に備えていくことは不可能です。現実的には予算、マンパワー、施設の立地的な条件といった様々な制限要因によって、「わかっちゃいるけどできない」ことが多々あります。

そこで、対応策の中から、自社のあるべき姿に対して有効と思われるもの、もしくは実現可能なものとして具体的に取り組むべきリスク対応計画(リスク及び機会に対する対応策)を取りまとます。
実現すべきテーマに対して優先順位をつけ、定めた目標に向かって具体的に取り組んでいきましょう。

できない理由を取り除こう

実行できないものをできるようにするために、まずはできない理由を取り除いていきましょう

  • 資金上の問題がある場合…政府の助成金や補助金など、利用できるものはないか調べる。
  • 社内の人材が不足している場合…スペシャリストを外部から雇用する、協力のアドバイザーを契約するなど外部から調達する。

リスク対応策はISO要求事項と一致させよう

ISOを組織の業務と切り離して取り組んでいるケースでは、組織の戦略としてのリスク対応と、ISOとしてのリスク対応を別々にするケースが見られることがあります。すると、それは会社に余分な負担をかけることになり、ISOも業務も機能しにくくなります。
ISOでは「事業プロセスとISOは一致している」ことが前提です。
リスク対応策を考える際は、組織の目標とISOの目標を連動させ、自身の業務、活動の中にリスク対応計画を取り入れていきましょう

  • 人材の育成を目標とする場合…「7.2 力量」と連動する
  • 外部との協力を構築していくことを目指す場合…「7.4 コミュニケーション」としてルールを確立する。

SMARTで品質目標を考えてみよう

SMARTで会社の目標ではなく自分の目標を立てよう

ISOにおける目標が会社の目標ありきで、形式的な活動計画を作成してしまうことがあります。すると、自身の目標として実感しにくくなり、パフォーマンスが上がらないというケースがみられることもあります。

パフォーマンスが上がる目標を立てるための基準として、参考にしたいのがSMARTの考え方です。
※以下、SMARTの考え方を解説しますが、5つの単語には諸説あります。

  • Specific(具体である)
  • Measurable(測定できる、判定可能)
  • Archival(到達できる)
  • Reality(現実的である)
  • Time bone(タイムリーである)

これを全て満たした目標を作ってみましょう。

Specific 自部門・部署に特有のテーマを目標にしよう

目標を立てる際、「達成できたらいいな」と思えるものでなければモチベーションがあがりません。とはいえ、組織でISOに取り組むときは、ここが難しいところです。
ISOの構築手順に従うと、まずは組織の方針や目標(いわゆる『あるべき姿』)が先に提示されます。そのため、組織にとって都合の良い目標や、褒めてもらいやすい目標を掲げ、 本当に自分が達成したいこととは乖離した目標を定めてしまうことがあります。

例えば、組織が「今より10%コストダウンを目指す」という目標を立てた場合、
「本当はコストをかけてでも良いものを作りたいのになあ…」
とあなたが思っていたら、やりたいとことと異なるため積極的な行動に移せず、結局はスローガンだけで終わってしまう…
そんなことはありませんか?

そこで、出来るだけ具体的(Specific)に自部署・部門特有のテーマを取り上げます。「この目標を達成出来たら嬉しい」といったやる気の出る目標を立てることで、意欲的な取組みにつながります。

Measurable 到達できたかどうかを判断できる目標を立てよう

継続するためには、自分の設定した目標に近づいたことが実感できるような指標が必要です。
「いつ」までに「何を」達成するかという具体的な行動計画を決めます。
判定可能な指標を設定することで、一歩ずつ目標に近づくこと気分も高まり、目標実現に向けた推進力を生みだすことになります。

Archival 実行可能な目標を立てよう

達成できない、もしくは非常に困難である目標を立てるケースがあります。
それでは、やる気を出すのは難しいので、最終的なゴールははるか彼方にあるとしても、まずは「頑張れば手が届きそう」なことを目標にしてみましょう。それを達成できれば、さらに「もう少し頑張れば手が届きそう」なことを目標に掲げてみます。

実現可能な目標を設定し、自分自身で成功したり達成したという成功体験を積み重ねることで、前向きな改善意欲を身に付けることができます。
とはいえ、何もしなくても達成できるような目標では達成経験につながらないので、高すぎず、低すぎない目標を立ててみましょう。

Reality 現実的な目標を立てよう

目標を設定した直後は、モチベーションが高いため、無謀な計画を立てて挫折することも多々あります。まずは、継続できる現実的な計画を立ててみましょう。

Time bone タイムリーな目標を立てよう

一定の期間内に実現可能な目標を立てましょう。