7.3 認識(抜粋)

組織は、組織の管理下で働く人々が、次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
a)品質方針
b)関連する品質目標
c)パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
d)品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

ISOが形だけになっていて、取得後何年たっても何の成果も見られない…そのような会社はたくさんあるようです。
形だけのISOになってしまう理由のひとつとして「教育」がうまくいっていないことが考えられます。

例えば、ISO 14001において環境に関する教育を行う際、「地球温暖化とは何か」「紙、ゴミ、電気を削減しよう」「リデュース・リユース・リサイクル」など、「環境活動とはこういうことですよ」といった話をする企業が多いようです。
確かに、このような教育活動によって環境に対する問題意識を持ってもらうことは大事なことですが、「では自分は何をすればいいのだろう」ということはなかなか理解されにくいと思います。

一人一人が自分自身の問題として受け止め、日々の活動に移せるようにならなければ、本当の意味で「認識」されたとは言えません。
「認識」とは「教わる」ことではなく「理解する」ことです。

認識するために大切なのは、「プラス」と「マイナス」の両方を具体的に理解することです。

「プラス」を理解する教育とは、「自分が効率よく作業を行うことによって、こんなにプラスになる」ということを認識することです。

プラスを理解する教育の事例

「マイナス」を理解する教育とは、「手順どおりやらなかったらどれだけ周りの迷惑になるのか」というデメリットを認識することです。

人が本当に理解するのは、失敗したり怒られたりするときだといわれます。とはいえ、企業は怒ったり失敗させる機会をいちいち与える余裕などありません。

そこで大切なのは、予測することです。
例えば、ISO 14001に取り組む際は、単に「環境について考慮しよう」ではなく、バルブをちゃんと閉めなかったら、油が流出して魚が死んでしまうなど、身近な環境とセットにして理解してもらうことからはじめてみましょう。

他社で重大な事故等が発生した場合、朝礼等で注意伝達を行う会社も多いと思います。
ISO 9001、ISO 14001を取得している会社では、朝礼や部課ミーティングで他社事故の内容を検討し、手順の再教育を行っているところもあります。とりあえず、その程度のことを行えば「教育を行った」という実績になり、審査もすんなり通ります。

しかし、他社で大事故が起こっても、各現場のリーダーが「うちの会社では大丈夫」という考えのもとで訓示を行えば、従業員には伝わりません
教育のレビューとして、「従業員一人一人に自覚が備わったかどうか」を確認することまで踏み込んでいかなれば効果はありません

このような取組みは一朝一夕ではいきません。時間がかかる取組みです。しかし、時間をかけて社員に認識させるという活動こそが、ISOのPDCAです。