顧客満足の3つのポイント(品質保証、リスクへの対応、顧客満足)と、顧客満足の向上について知っておきましょう。
顧客満足の3つのポイントを知っておこう
ISO 9001の目的は「顧客の要求する製品、サービス」を提供することによって、お客さんに満足してもらうこと(顧客満足)を目指すこと(=顧客重視)。
と口で言うのは簡単ですが、実際のところ「顧客重視」といっても何をすればよいのでしょうか。
顧客重視については、品質方針やISO 9001における各活動の中で説明できれば、マニュアルなどで文書化する必要はありません。しかし、そのため「何をすればよいのか」「どのように考えればよいのか」が不明になりがちです。
まずは、ISOにおける顧客重視の3つのポイントを押さえておきましょう。
1.品質を保証する(QA)
顧客重視の基本として、顧客要求や法的要求を遵守し続けることにより、品質を担保し、顧客が望むものを提供します。
顧客重視は、「ある一人の従業員」の「気配り」「おもてなしの心」で終わってしまうことがあります。この「誰かの心遣い」を組織全体で共有することで、仕組みとしてマネジメントシステムに組み込んでいけるようにしてみましょう。
2.リスクに対応する(RM)
自社で定めた顧客重視のシステム(プロセスアプローチ)が常に完璧に行われていたら、常に意図した製品・サービスを提供できますが、残念ながら必ずしもいつもうまくとは限りません。必ず突発的なトラブルは生じます。
何らかの理由で顧客の望むものができなかった場合のリスクを想定し、その対応策を決めておくことが必要です。トラブルに対応し、顧客にある程度の製品を提供でき、満足が維持されることがリスク対応です。
それによって、不良品などの「顧客が望まないもの」は提供しないようにします。
3.顧客に満足していただく(CS)
ここまでは「顧客に望むものを提供し、望まないものを提供しない」ことですが、それだけでは、真の顧客満足とは言えません。
顧客の望むもの+αを追求し、顧客の期待をこえていくため、「顧客が不満足ではない状態」を超えたサービスを提供することが真の顧客満足です。
リスクへの対応を考慮した顧客重視とは
ISOとは、きちんと活用すれば組織の仕組みが整えられ、仕組みが整うと顧客満足にもつながっていきます。
それは間違いありませんが、これはあくまで「想定したとおりに仕組みが動いた場合」の話。
現実には何らかの想定外のことが起こりえます。事故や天災といった突発的な出来事だけではなく、年月の経過や社会情勢の動きにより、「仕組み」を取り巻く状況は、必ず変化します。
このような想定外のこと、あるいは「後10年で優れた技術者が定年退職する」といった想定内のこと、これらを「リスク」として認識し、リスクを想定した顧客重視を行うことが大切です。
顧客重視を阻害するリスクについては、以下のような想定を行い、対策を考えてみましょう。
- 交通渋滞等で原材料が届かないことを想定し、近場から調達できる場所を確保しておいたり、サプライヤーに分納のお願いをする。
- 機械が故障した時のことを想定し、せめて1日分だけでも生産できるよう、最低4日分は原材料を担保しておく。
- 子供が熱を出したのでパートが来れなかった等、人が足りなくなった場合を想定し、別の部署から人を出し作業できるようにする。
顧客重視を阻害するリスクについては、以下のような想定を行い、対策を考えてみましょう。
- 交通渋滞等で原材料が届かないことを想定し、近場から調達できる場所を確保しておいたり、サプライヤーに分納のお願いをする。
- 機械が故障した時のことを想定し、せめて1日分だけでも生産できるよう、最低4日分は原材料を担保しておく。
- 子供が熱を出したのでパートが来れなかった等、人が足りなくなった場合を想定し、別の部署から人を出し作業できるようにする。
顧客重視については、これといった「手順」がないため、仕組みにしづらいかもしれません。
心遣い、真心、おもてなしといった、抽象的で日本的な対応を「顧客重視」も大切ですが、そのようなことが「もしもできなかった場合、組織がどんな不利益を被るか」を考えてみると、もっと具体的な対策が考えられるでしょう。
顧客満足の向上の考え方とは
顧客満足については、「ここまでやったらOK」というラインは存在しません。受け取る側(顧客)の主観で決まることが多いからです。
顧客満足とは、顧客を満足させるために、相手の要望、要求を全て達成することだと考えられがちですが、ISO 9001の顧客満足とは、顧客の期待がどの程度満たされ、どのように顧客自身が評価しているのかで決定されます。
提供する側が「ここまでやればよいだろう」と決めるのではなく、提供される側の期待値と実際に提供されたものの差によって、顧客満足は決まります。
- 実際に提供されたものが期待値を下回る(期待外れの)場合…
- 顧客は憤慨、落胆、残念、といった感情を抱き、苦情、忠告といった行動を起こすこともあります。これが顧客不満足の状態です。
- 期待しているものと同じレベルのものが提供された場合…
- これはもちろん顧客満足ですが、要求通りのものが提供されるのは、ある意味「当然」のことなので、顧客満足につながりにくいこともあります。
- 期待以上のものが提供された場合…
- 驚き、喜び、嬉しさという感覚に満たされ、感動や好感が生まれ、やがては信頼、安心へとつながっていきます。
ISO 9001では、顧客の望むものを適切に提供するという顧客満足の基本を整えていくことが求められています。
その土台が定着したら、顧客の期待を超えたサービス製品を提供していくことによって、真の顧客満足へつなげていきましょう(顧客満足の向上)。
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