ISO 14001のシステムを構築するにあたって、リスクを考慮することがベースとなっています。

ISO 14001はそもそも、環境に悪影響を与えるもの(環境影響)を削減するということを目指しており、環境影響そのものがリスクです。環境に悪影響を与える事態が発生しないよう、何らかの対策(環境計画)を作り、実施します。

ところが、その計画どおりに行われない事態(不確かなこと)が生じたら…という「もしも」についても対策することも、ISO 14001では要求されています。これがISO 14001の「リスク及び機会」です。

リスクが2つ存在することから、混乱してしまうこともありますが、このように違いを理解しておきましょう。

リスク及び機会は、どちらも不確かなことですが、それには「好ましくない不確かなこと」「好ましい不確かなこと」の二つの側面があります。

ISO 14001では、これらのリスク及び機会への対策を明確にします。
ISO 14001の「リスクと機会」は、不確かなことによって環境に何らかの影響を与える場合という環境の視点のみで決定します。

リスク回避を目指すだけがリスク対策ではありません。
何らかの機会を追求するためにリスクを受容する、リスク源の除去またはリスクが発生した結果を緩和する、リスクを共有するといったことも含めて取り組みを行います。

環境に悪影響を与えるもの(環境影響)については、主に要求事項6章で対策(計画:Plan)を立て、8章でその計画を運用(Do、及びAction、Check)していきます。

まずは、顕在的(組織が現在環境に与えている)および潜在的(将来与えるかもしれない)環境影響と、その環境影響の元になっている組織の活動(環境側面)を明確にします。

環境影響は近隣地域のみならず、その地方から地球規模にまで及びます。
組織の活動を行ったり、製品やサービスを提供する上で排出される好ましくないもの(廃棄物、環境に害を与える物質など)、周辺地域に何らかの変化を与えうるものを、有害か有益かに関わらず、すべてピックアップしましょう。

環境側面をピックアップする際に考慮すべきポイント

ピックアップした環境影響の中から、何らかの評価基準によって、環境に特に悪影響を与えているものを「著しい環境側面」として特定します。
基準は、環境側面(例:種類、規模、頻度)に関連することもあれば、環境影響(例:規模、深刻度、継続時間、露出)に関連することもあります。

基準の決め方(例)

著しい環境側面については、環境目標として削減するものと、これ以上悪化させないように日常的な業務の中で管理し現状維持するものに分けて対策を講じます。

環境影響と環境側面

環境活動を行う上で、またコンプライアンスという面でも、法に基づいた活動を行うのは必須です。
例えば環境法を逸脱した場合は、周囲に悪影響を与えるというリスクになったり、組織の評判を落としたり大きな問題となるなどのリスクが生じる可能性があります。
自社に適用可能な法律を特定し、組織が順守しなければならない法的要求事項については確実に順守できるようにしましょうる。