継続的改善


継続的改善とは

●トラブルは必ず発生するからこそ、対処するための仕組みが必要

ISOを導入すると、不良品の発生やクレームなどのトラブルがなくなると思われることもありますが、トラブルの発生率だけで組織の状況判断するのは正しいといえません。業種や取扱製品などによって、トラブルの発生率は異なるからです。

そもそもISOシステムは、トラブルは発生することを前提に構築します。
ISOが目指しているのは、トラブルの発生を0にすることではありません。『トラブルを0に近づけるための仕組みを作っていく』こと。トラブルが発生しても、その後の回収や原因追究がスムーズに行われる仕組み、そしてそのトラブルを改善に結びつけていける仕組みを作っていくことです。

もちろん、トラブルの発生を最小限に抑えるための仕組みは必要です。しかし、人が変わり状況が変わり社会が変わっていく中で、予想もしなかったようなトラブルが発生することもあります。
トラブルそのものは想定外のものであったとしても、それらにどのように対処していくかを「仕組み」として皆が共有することで、トラブルによる被害を抑えることができるようになります。

ISOを導入し、仕組みを作っても、1年、2年では大きな変化は見られないかもしれません。しかし『少しずつ改善していく仕組み』を社内に根付かせ、プロセスを整えていくこと、それらを継続的に行っていくことで、組織の状態は向上していきます。
これが継続的改善です。


●マネジメントの最適化

継続的改善の仕組みが組織に根付いていくと、次第にトラブルが減り、これといって問題が見当たらなくなる時が来ます。それ自体は喜ばしいことですが、そのような状態になったら、さらに上の「改善」を目指すことを、ISOでは求めています。

すなわち、今の状態がベストだと考えていても、常に「他によい手段はないか」を探し、改善を続けていくことです。

以下では、改善を進めていくための目安として、『成熟度モデル』を紹介します。


成熟度モデルを継続的改善の目安とする

『成熟度モデル』は『組織内にどの程度、プロセスが存在しているか』によって、『レベル1』から『レベル5』までの5段階に分かれています。
1~3までは、改善以前に組織にプロセスが存在しないか、ようやく整った状態ですが、4、5になると継続的改善が組織の質を上げるのに重要であることがわかるでしょう。


●レベル1 『プロセスを監視していない状態』

組織内に業務マニュアルや作業マニュアルなどはなく、共通のルールが存在していない。

ISOの最低条件は「ルールを決めて、それを守る」ですが、「レベル1」は、そのルールすら存在していない、という状態を指しています。ISO取得レベルだと、最低ここはクリアしています。


●レベル2 『プロセスを特定しルールを定めているが、活用されていない状態』

ルールが決められ、それが守られている状態。フォームや手順書などはあり、全員がそれにそって作業しているが、ルールがあるだけで満足し、何のためのルールかわからないものが存在することもある。

ISO認証取得の最低レベルは、ココです。

このレベルは、単刀直入な言い方をすると、『ルールがありさえすればよい』という状態です。これでも『認証マーク』は取得できます。ISOの審査は、『ルールがあって、それが守られているか』を見ることが目的なので、とにかくマークさえあればいいという会社の中には、このレベルのところも存在します。



●レベル3 『プロセスが明確になり、ルールが適切なものになっている状態』

ルールが定められ、かつ何のためのルールなのかをスタッフ全員が理解し、自分の仕事はプロセスの中でどういう位置づけなのかが明確になっている。そして、それが滞りなく行なわれているかどうかが『監視』されている。

単にルールがあり、それが守られている状態というだけではISOをとった意味がない、せっかくISOに取り組むのだから、従業員全員が自覚を持って業務を行い、会社全体として経営改善に役立てよう、とするのが「レベル3」です。ISOを単なる「カタチ」ではなく、会社の経営や作業の流れの中に、具体的、積極的に取り入れて、役立てようとしているレベルです。

ある程度意識を持ってISOに取り組んでいる会社は、このレベルまでには到達しているでしょう。ISO認証取得企業の中で、このレベルがもっとも多いと思われます。



●レベル4 『ルールが活用されているかどうかがチェックされている状態』

決めたルールは、会社としての「目標」にきちんと沿ったものである。「何のための目標なのか」がはっきりしているため、全社的、個人的にその目標に向かって業務を行うことができる。
また、その目標は出来るだけ『数値化』されており、目標達成の状況をチェックする体制(内部監査)がしっかり整っている状態。


内部監査は、外部監査とは違い、「ルールはありますか。それは守られていますか」だけでなく、「会社がよくなるためのルールを作っていますか」「会社がよくなるために、あなたは何をしていますか」をチェックするものです。

このチェックが疎かだと、社内全体の意識も改善されません。内部監査はISO取得後に、経営をどこまで改善できるかの鍵を握っています。
出来ている会社は、このレベルにまで達しています。というより、ここまでできてこそ、ISO取得の意味があると言えるでしょう。



●レベル5 『プロセスが有効活用されている状態』

「目標を達成すること」が目標となっていない。常に、社会や組織の状況を見ながら、世の中の『プロセス(流れ)』に合わせた目標設定を行なう。いわゆる『継続的改善』を行なう体制が出来ている状態。

会社は、めまぐるしく変わる世の中で生きていかなければなりません。どこかのレベルで満足していたら、あっという間に時代に追い抜かれていきます。そのため、常に「もっとよくなる方法はないか」「改善すべき点はないか」を考え、それを実行していく必要はあります。

ISOを取得した、会社のシステムをきちんと整えた、ということに満足するだけではなく、そこを基盤にして「改善を続けていく」という姿勢ができている状態が「レベル5」です。要するに「経営者も社員も全員が『会社をよくしていこう』という気持ち(社風)を持っている」ということです。

このレベルは、ISOと言うよりも、「経営品質賞」を狙えるようなレベルです。
ここまでの意識改革は、なかなか難しいと思いますが、ISOに取り組むことから始めて、ぜひともここに行き着くことを目標としていただきたいと思っています。



ISO取得レベルは、一般的に「レベル2」から「レベル4」の中にあるといえます。
そのどこに位置しているのか、そしてそれ以上の「レベル5」にまで到達できるのかは、組織次第です。

『継続的改善』をマネジメントシステムに組み込むには(例)I改善のための目標を立てる
現実的かつ挑戦的な改善目標を設定する。ただし、『目標を達成すること』が目標なのではなく、『目標達成に向けて全員が一丸となった取組』が大切。

見える目標を立てる
組織の状況を分析した『データ』『情報』に基づいてつくられた目標を立てる。

適正コストを設定する
トラブルを防止するための「適切なコストを考えよう。そのためには『トラブルは発生する』という前提をもつこと。そして、トラブルが発生した場合の対処法についてしっかり考えておこう。

継続的な改善により,組織のレベルを常に向上させる
顧客の立場に立って『何が一番喜ばれるか』を考えよう。

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