継続的に改善を行っていく

継続的改善のための仕組みづくりと成熟度モデルについて知っておきましょう。

10 改善(ISO 9001:2015)(抜粋)

組織は、顧客要求事項を満たし、顧客満足を向上させるために、改善の機会を明確にし、選択しなければならず、また、必要な取組みを実施しなければならない。

継続的改善とは

「今より良い方法はないか」を常に考え続けよう

システムがうまくいってない場合、あるいは不適合が起きた場合に是正処置として再発防止対策をとるというのは、ある意味当たり前にすべき改善活動です。

では、計画通りに製品、サービスが提供され、システムも適切に運用できている場合は何もしなくてよいのでしょうか。
PDC(Plan、Do、Check)がうまく運用でき、特に問題が生じていない場合、あるいは決めたルール通りにやってうまくいった場合、その状態を維持することも立派な改善活動の一つですが、「今よりももっとよくやる方法はないのか」を模索してみること、これが継続的改善です。

継続的改善の仕組みが組織に根付いていくと、次第にトラブルが減り、問題が見当たらなくなる時が来ます。
それ自体は喜ばしいことですが、今の状態がベストだと考えていても、常に「他によい手段はないか」を探し、改善を続けていく、これを『マネジメントシステムの最適化』といいます。
改善したことを実行し(Do)、本当にその改善によって効果が出ているかをチェックし(Check)、更に改善を続けPDCAを繰り返していきます。

トラブルが発生することを前提にした仕組みを作ろう

ISOを導入すると、様々な問題が改善され、トラブルや不良品の発生、クレームなどがなくなると思われることもありますが、トラブル(不適合)は0にはなりません。

そもそもISOシステムは、トラブルは発生することを前提に構築します。
トラブルの発生を最小限に抑えるための仕組みを整えたうえで、トラブルが発生しても、その後の回収や原因追究がスムーズに行われ、そのトラブルを改善に結びつけていく『トラブルを0に近づけるための仕組みを作っていきます。

人が変わり状況が変わり社会が変わっていく中で、予想もしなかったようなトラブルが発生することもあります。
トラブルそのものは想定外のものであったとしても、トラブルへの対処を「仕組み」として皆が共有することで、トラブルによる被害を抑えることができるようになります。

また、トラブルの発生率だけで組織の状況判断するのは正しいといえません。業種や取扱製品などによって、トラブルの発生率は異なるからです。

ISOを導入し、仕組みを作っても、1年、2年では大きな変化は見られないかもしれません。しかし『少しずつ改善していく仕組み』を社内に根付かせ、プロセスを整えていくこと、それらを継続的に行っていくことで、組織の状態は向上していきます。

成熟度モデルを継続的改善の目安としてみよう

改善を進めていくための目安として、成熟度モデルがあります。(ISO 9004のガイドライン「持続的成功を達成するための指針」より)
これは『組織内にどの程度、プロセスが存在しているか』によって、『レベル1』から『レベル5』までの5段階で分類したものです。

以下では成熟度モデルを紹介します。

レベル1:プロセスを監視していない状態

組織内に業務マニュアルや作業マニュアルなどはなく、共通のルールが存在していない。

ISOの最低条件は「ルールを決めて、それを守る」ですが、「レベル1」はそのルールすら存在していない、という状態です。
※ISO取得レベルだと、最低ここはクリアしています。

レベル2:プロセスを特定しルールを定めているが、活用されていない状態

ルールが決められ、それが守られている状態。フォームや手順書などはあり、全員がそれにそって作業しているが、ルールがあるだけで満足し、何のためのルールかわからないものが存在することもある。

ISO認証取得の最低レベルは、ココです。
このレベルは、単刀直入な言い方をすると『ルールがありさえすればよい』という状態です。これでも『認証マーク』は取得できます。ISOの審査は、『ルールがあって、それが守られているか』を見ることが目的なので、とにかくマークさえあればいいという会社の中には、このレベルのところも存在します。

レベル3:プロセスが明確になり、ルールが適切なものになっている状態

ルールが定められ、かつ何のためのルールなのかをスタッフ全員が理解し、自分の仕事はプロセスの中でどのような位置づけなのかが明確になっている。そして、それが滞りなく行なわれているかどうかが『監視』されている。

単にルールがあり、それが守られているだけではなく、せっかくISOに取り組むのだから、従業員全員が自覚を持って業務を行い、会社全体として経営改善に役立てよう、とするのが「レベル3」です。
ISOを単なる「カタチ」ではなく、会社の経営や作業の流れの中に、具体的、積極的に取り入れて、役立てようとしているレベルです。

ある程度意識を持ってISOに取り組んでいる会社は、このレベルまでには到達しているでしょう。
ISO認証取得企業の中で、このレベルがもっとも多いと思われます。

レベル4:ルールが活用されているかどうかがチェックされている状態

会社としての「目標」にきちんと沿ったルールが定められている。「何のための目標なのか」がはっきりしているため、全社的、個人的にその目標に向かって業務を行うことができる。

組織の目標は出来るだけ「数値化」されており、目標達成の状況をチェックする体制(内部監査)がしっかり整っている状態です。
本来の内部監査は、外部監査とは違い、「ルールはありますか。それは守られていますか」といったことを質問するだけでなく、「会社がよくなるためのルールを作っていますか」「会社がよくなるために、あなたは何をしていますか」をチェックするものです。
このチェックが疎かだと、社内全体の意識も改善されません。
ここまでできてこそ、ISO取得の意味があると言えるでしょう。

レベル5:プロセスが有効活用されている状態

「目標を達成すること」を目標とせず、常に社会や組織の状況を見ながら、世の中の『プロセス(流れ)』に合わせた目標設定を行なっている状態。

いわゆる『継続的改善』を行なう体制が出来ている状態です。
会社は、めまぐるしく変わる世の中で生きていかなければなりません。どこかのレベルで満足していたら、あっという間に時代に追い抜かれていきます。そのため、常に「もっとよくなる方法はないか」「改善すべき点はないか」を考え、それを実行していく必要はあります。

ISOを取得した、会社のシステムをきちんと整えた、ということに満足するだけではなく、そこを基盤にして「改善を続けていく」という姿勢ができている状態が「レベル5」です。要するに「経営者も社員も全員が『会社をよくしていこう』という気持ち(社風)を持っている」ということです。

このレベルは、ISOと言うよりも、「経営品質賞」を狙えるようなレベルです。

ISOを認証取得した組織のレベルは、一般的に「レベル2」から「レベル4」の中にあるといえます。
そのどこに位置しているのか、そしてそれ以上の「レベル5」にまで到達できるのかは、組織次第です。
レベル5までの道は険しいかと思いますが、ISOに取り組む以上、ぜひともここに行き着くことを目標としていただきたいと思っています。