品質マネジメント7原則(旧:8原則)とは


適合性と有効性

ISOで求められるのは、『ISO要求事項にしたがってルールを作る』『それをみんなで守る』『ルールがちゃんと守られているかどうかを監視する』『(守られていなければ)改善する』というPDCAの仕組みです。
ただ、定めたルールがそもそも『意味のないルール』であれば、せっかくISOを構築しても、その効果が実感できないどころか、かえって業務をややこしくしたりすることもあります。

ISOは、『要求事項に適合していればOK』ではありません。会社にとって、『きちんと効果がある』ことではじめて、ISOを構築・運用できていると言えます。
システムが要求事項に適合している状態のことを、『適合性』といいます。
システムが有効に機能している状態のことを、『有効性』といいます。
単に「ISO要求事項にしたがってルールを決めた状態」は、『適合性』は満たしていることになりますが、必ずしもシステムが会社にとって有効に機能している(役に立っている)とは限りません。

品質マネジメント8原則から7原則へ

●品質マネジメント8原則

そこで、 ISOの『有効性』を満たすために、『品質マネジメント8原則(以降、8原則)』が提唱されました。8原則を組み込んだISOは、単に要求事項に『適合している』だけでなく、ISOシステムが『有効に機能している』ため具体的な効果があり、経営改善に繋がっていきます。

ISO要求事項で「○○すること」とされていることに対し、8原則では「何のために」「どのように」行うといった基本的な『原則』を示しており、マネジメントシステムを構築するための『土台』となるものです。

ISOは、会社の中にシステムを構築することによって、会社の足並みをそろえます。8原則を取り入れたISOでは、そろった足並みがどこに向かうべきかを示してくれます 。組織が決めた目的に向かって、会社全体が一丸となって歩いていけるよう、進むべき道を教えてくれるのです。
とはいえ、8原則を組み込んだマネジメントシステムを構築するかどうかは、組織の判断に任されていました。

●品質マネジメント7原則

2015年、ISO 9001及びISO 14001の改訂に伴い、『品質マネジメント8原則』は、『品質マネジメント7原則』となりました。
『土台』としての存在していた『7原則』は、規格要求事項の中に組み込まれて要求事項の内容が7原則そのものに改正され、ISOの『骨組み』のような位置づけになりました。組織が7原則をあえて意識しなくても、要求事項に従ってシステムを構築していくことで、『7原則に基づいたシステム』が出来上がります。2015年版は、より構築しやすく、そして効果の出やすいISOになったと言われているのはこのためです。

品質マネジメント7原則 各内容

原則1.顧客重視
  • 顧客満足は組織経営にとって究極の目的です。 顧客とは、金銭のやり取りが発生する相手のことだけでなく、会社の提供する製品、サービスに係るすべての人のことを指します。
  • 顧客重視とは、単に顧客を中心に考えた経営を行うことではなく、顧客もマネジメントシステムの一環として取り組み、顧客の要求と期待に応えます。

原則2.リーダーシップ
  • リーダーの気風はそのまま社風となります。リーダーは将来に対する明確なビジョン(あるべき姿)を描き、それを「言語化」「成文化」します。リーダーシップが中小企業を「依存型」から「自立型」に導きます。理念は「戦略」「戦術」「戦闘」の3つのステップで、組織全体に周知させます。

原則3.人々の積極的参加 
  • リーダー(経営者)が掲げた目標を、従業員全員で達成します。マネジメントシステムは「全員参加」が基本。どこかの部署は関係ないということは、ありえません。従業員一人ひとりが、目標達成のためには自分たちに何ができるのかを考えます。

原則4.プロセスアプローチ
  • プロセスアプローチとは、ひとつひとつの作業が「本当に必要なプロセスに基づいて行われているか」「作業工程の中にムダな手順などはないか」を見直し、各プロセスが一本の線のようにつながった状態であることです。一人一人の作業だけでなく、会社全体で組織の目標(テーマ)」の達成に向けて、プロセスアプローチを行います。会社内だけでなく、会社のモノ・サービスに係る会社外のすべての人が、プロセスの範囲に含まれます。

原則5.改善
  • 単に問題点を改善していくだけではなく、現状に問題がなくても『アップデートする点はないか』を絶えず考え、「マネジメントの管理の最適化」を行います。

原則6.客観的事実に基づく意思決定 
  • 会社の目標は、抽象的なスローガンや標語ではなく、(客観的な)事実=データや記録などに基づいて具体的で明確なものを立てることが重要です。闇雲に記録を残すのでなく、その後、何らかの形でデータや記録を活用することを踏まえてデータをとります。

原則7.関係性管理
  • 組織と、供給者及び組織を取り巻く利害関係者とは、対等の立場にあり平等であるべきという考え方に基づいて、モノ・サービスに係るすべての人が協力し、気持ちのよい関係で仕事をして価値実現を目指します。顧客満足という共通目的に向けて、互恵関係をはかります。

規格要求事項に組み込まれている7原則

ISO 9001:2015、ISO 14001:2015の要求事項には、7原則の各内容が組み込まれています。
ここでは要求事項の流れに沿って、規格に組み込まれている7原則を簡単に紹介します。

顧客のニーズに対応する【1.顧客重視】ために、利害関係者(供給者、労働者)のニーズ【7.関係性管理】を踏まえます。
 →4.2など

これらを経営者が判断して【2リーダーシップ】で取り組みます。
 →5.リーダーシップ

その要求事項をプロセスの中に落とし込み【4.プロセスアプローチ】全員参加の下で【3.人々の積極的参加】システムを運用していきます。
 →4.2、7.2など

システムは正しく運用できているかを評価【6.客観的事実に基づく意思決定】します。
 →9.2パフォーマンス評価など

そして、これらの仕組みを続けていく中で、特に問題がなかったとしても、よりよくすることはできないか考え、システムをアップデート【5.改善】していきます。
 →10.改善