ISOマネジメントシステムの7原則の内容と、規格要求事項に組み込まれている7原則を理解しておきましょう。

品質マネジメント7原則とは

品質マネジメントの7原則とは、ISO 9000の序文で提示されている品質マネジメントの基本的な考え方です。構築したISOシステムが有効に機能するための「原則」となっています。
7原則では、ISO要求事項で「○○すること」とされていることについて、「何のために」「どのように」行うといった基本的な原則を示しています。
7原則を理解することで、より有効的なISO構築が期待できます。

  • 顧客重視
  • リーダーシップ
  • 人々の積極的参加
  • プロセスアプローチ
  • 改善
  • 客観的事実に基づく意思決定 
  • 関係性管理

原則1.顧客重視

顧客に満足していただくことは、組織経営にとって究極の目的です。
顧客重視とは、単に顧客を中心に考えた経営を行うことではなく、顧客もマネジメントシステムの一環として取り組み、顧客の要求と期待に応えること。
顧客に言われるがままに製品、サービスを提供するだけでは、本当の意味の顧客重視とは言えません。顧客の期待を超えるために、常にニーズを把握し、製品やサービスに対する改善、提案を行い、責任と誇りを持って顧客重視を考えます。

原則2.リーダーシップ

組織ではリーダー(トップ=経営層)の行動自体が社風を表すこともあります。特に小規模の会社の場合、リーダーが積極的にマネジメントに関わり、リーダーが会社をどういう方向に導きたいか意識し、社員に対して目的・目標を明確に打ち出すことが大切です。

リーダーに求められるのは、将来に対する明確なビジョン(あるべき姿)を描き、それを「言語化」「成文化」することです。「こうなったらいいな」と理想を語るだけでなく、きちんと方向を定め、それに向かって具体的に進んで行くための詳細な地図を描きます。経営理念、経営方針を明確に打ち出してリーダーシップを発揮します。

原則3.人々の積極的参加

原則2と原則3は対になっています。
リーダーがめざす目標を明確にし、従業員全員に理解させます。従業員は目標に対し自らの能力を最大限に発揮します。そのための場を、リーダーが提供し、全員で心を一つにして同じ方向に向かっていきます。

マネジメントシステムは「全員参加」が基本。どこかの部署は関係ないということはありえません。従業員一人ひとりが、目標達成のために自分に何ができるのかを考え、自分のこととして積極的に関与していけるようにします。
このような雰囲気作りを行っていきましょう。

原則4.プロセスアプローチ

プロセスアプローチは、ISO9001やその他の規格でも採用されており、ISOマネジメントシステムの基本の考え方です。

プロセスとは自分(自部署)の仕事と考えてみましょう。自分の仕事は1人で完結することはなく、必ず誰かから何かを受け取り(インプット)、自分のところで処理をして誰かに渡します(アウトプット)

インとアウトを整理して、インプットされたものを「誰が」「何を用いて」「どのように」行うかをルールとして決めます。適切なプロセスの維持管理を行うために、「プロセスが管理された状態」を定義付けることが、プロセスアプローチという考え方です。

原則5.改善

不具合が起きたから改善する、というのは当たり前のことです。問題点を改善していくだけではなく、現状に問題がなくても「アップデートする点はないか」を絶えず考え、「マネジメントの管理の最適化」を行うことが、ISOにおける改善です。

プロセスアプローチに基づいて様々な仕組みを作っても、決めたシステムは未来永劫通用するわけではありません。時代が変化したり、条件が変わったりしたら、それに合わせて自身の仕組みを適切な状態に変えていく必要があります。もしくは、今よりももっとよいやり方にレベルアップしていくようにしていきましょう。

原則6.客観的事実に基づく意思決定 

目標を定めたり改善活動を行う際、抽象的なスローガンや標語を作ったり、「多分こうした方がよいのでは」という主観ではなく、客観的な事実に基づき、適切な判断をしていくようにします。
「前と比べて数値が落ちている(あるいは上がっている)」「数か月間の傾向として徐々に悪くなっている(よくなっている)」など、データや記録などに基づいて具体的で明確な目標を立てるようにします。記録をとるときは、何らかの形で活用することを踏まえるようにしましょう

原則7.関係性管理

顧客重視というアウトプットを実現するためには、関係者から適切な材料をインプットすることによって、良い製品やサービスを提供できるようにします。すなわち、組織と組織を取り巻く利害関係者や供給者とWin-Winの関係を作らない限り、良い成果が出せないといえます。

これらの関係は、対等で平等であるべきです。製品やサービスに係るすべての人が協力し、気持ちのよい関係で仕事をするために、利害関係者や供給業者との関係性を適切に管理することが、ひいては顧客満足度の向上にも繋がります。

規格要求事項に組み込まれている7原則

ISO 9001:2015、ISO 14001:2015の要求事項には、7原則の各内容が組み込まれています。
ここでは要求事項の流れに沿って、規格に組み込まれている7原則を簡単に紹介します。

顧客のニーズに対応するために、利害関係者(供給者、労働者)のニーズを踏まえる。

8原則原則1 顧客重視、原則7 関係性管理
規格要求事項4.2 利害関係者のニーズ及び期待 など

これらを経営者が判断し、方針を決定して取り組む。

8原則原則2 リーダーシップ
規格要求事項5章 リーダーシップ


その要求事項をプロセスの中に落とし込み、全員参加の下でシステムを運用していく。

8原則原則4 プロセスアプローチ、原則3 人々の積極的参加
規格要求事項4.2利害関係者のニーズ及び期待 、7.2 力量 など

システムは正しく運用できているかを評価する。

8原則原則6 客観的事実に基づく意思決定
規格要求事項9.2 パフォーマンス評価など

これらの仕組みを続けていく中で、特に問題がなかったとしても、よりよくすることはできないか考え、システムをアップデートしていく。

8原則原則5 改善
規格要求事項10章 改善

8原則から7原則へ

品質マネジメント7原則は、かつては要求事項とは切り離された位置づけで、「原則」を組み込んだマネジメントシステムを構築するかどうかは、組織の判断に任されていました。
2015年、ISO 9001及びISO 14001の改訂に伴い、「原則」規格要求事項の中に組み込まれました。2015年版は、より構築しやすく、そして効果の出やすいISOになったと言われているのはこのためです。また、プロセスアプローチが整理されたことで、8原則から7原則になりました。