内部監査は、以下の手順で行います。

監査基準とは、監査の際、合否の判断基準となる書類などのことです。

監査を行う際は、何を重点的にチェックするのか、何のために監査するのかという目的を決めます。

内部監査の監査基準は「自組織のマニュアルや手順書」であるため、まずは手順書通りに実行しているかを監査します(適合性監査)。
その上で、自組織のマニュアルや手順書を実施した結果、効果が出ているかについても監査を行います(有効性監査)。

監査の目的にあった監査を行おう

実施する監査の基準や目的が明確になれば、必然的に監査を実施すべき範囲(部門、エリア)が決まります。

監査の基準、目的から決まる監査の範囲

内部監査を行う前に、内部監査員が組織のマニュアルをチェックし、限られた監査時間にどのようなことをチェックすべきかについて準備します。

一つの方法として「チェックリスト」を準備し、質問項目をリストにすることがあります。
ただし、必ずしもリストを作る必要があるわけではありません。例えば、マニュアルをコピーして、アンダーラインやカラーペンで質問したいポイントを記入するだけでも構いません。

実際の監査現場では、用意したリストやアンダーラインの箇所を読み上げて質問するのではなく、現場では「何をしているのか」「どのような方法でしているのか」「どんな記録が残っているのか」を聞き、それがルールに「適合しているかいないか」を確認していきます。

監査の当日、監査で質問する項目を中心に、現場の作業責任者等に質問を行い、監査結果が適合か不適合かを評価します。

評価した結果を報告書にまとめ、是正処置を依頼します。

是正した内容が適切かどうかをフォローします。

内部監査は他部署により行われるのが基本です(開発部が営業部を監査する、店舗運営部門が本社を監査する、など)。

しかし、被監査側からは「現場のことを理解していない監査できるはずがない」という反発が見られることもあります。
もちろん、他部署の監査者は現場の状況については詳しくありません。
しかし、「ルール通りできているかどうか」については判断できます

自部門で監査すると、現場の苦労がわかっているため、多少のルール違反は仕方ないと見逃してしまうことがあります。
しかし、不適合は不適合として指摘しないと改善されません。
どんな事情があろうと、ルールに反していることに対しては、毅然とした態度で「不適合です」と伝えなくてはなりません
自部署の常識は他部署の非常識です。「現場のことを知らない人間が監査する」のは、内部監査の大きな利点です。

監査員と被監査者が、まるで敵と味方のような立場に立ち、会社内がぎくしゃくしてしまうといったケースも稀に見られますが、それは内部監査に対する認識が間違っているためです。また、監査者が被監査者よりも立場が上だと認識する必要もありません。

「監査」や「不適合」という言葉にマイナスイメージがあるのであれば、言葉を変えて「発見」にしてみましょう
内部監査では、不適合(という名の発見)を出し、共有していくことが大切です。何も発見できないのは、そもそも監査のやり方がおかしいといえます。

監査員に一番勇気を持っていただきたいことは、不適合を出すことを恐れないことです。
不適合を発見できるということは、組織内でよい雰囲気が作られ、切磋琢磨できているということです。不適合が出ないのは、決して良い状態ではありません。

内部監査で発見された不適合に対し、是正や再発防止的な改善策を考える際、むやみに実施項目を増やしていないでしょうか。ダブルチェックを行う、教育を実施する、新しくチェックシートや点検シートと作ってチェック項目を増やすといった対策をとると、効果が限定されてしまうこともあります。
工数や手間の削減に繋がるような改善策を検討してみましょう。

不適合は何らかの問題が見つかった部門に対して出すため、その部門に対して改善を求めることになりますが、仕事の仕方や手順を見直す際、1つの部門では取り組みにくいことがあります。仕事は複数人、あるいは複数の部署(プロセス)で繋がっているからです。

内部監査を、監査を受けた部門の中で無理やり完結させようすると、できる範囲として教育の実施、チェックシートの改定、手順書の作成といった目先の改善になってしまいます。
そのような改善で十分効果が出る場合にはよいですが、そうではない場合には、自部門を超えた改善策を考えてみましょう。

部門最適ではなく、全体最適を目指して取り組んでいくというのが、不適合是正の考え方です。

内部監査の不適合に対する改善が、9.2で完結できないことがあります。その場合は、「第10章 改善」で不適合および是正を行っていきましょう
9章のパフォーマンス評価(自己評価)、内部監査(他社評価)、マネジメントレビュー(上司評価)で改善の機会が見つかった場合は、10章も含め、会社全体で連携しながら取り組んでいきましょう。

内部監査を効果的に行うために