ISOの責任者(旧:管理責任者)の役割(5.3)


ISO責任者の位置づけ

5.3 組織の役割、責任及び権限
トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されることを確実にしなければならない。


ISOでは、トップ(経営者)のリーダーシップが重視されています。とはいえ、トップが隅々までをチェックできる訳ではないため、代行者としてISOを管理していく責任者が必要です。

ISO責任者は、全社的なマネジメントシステムを司ることが求められているため、各部門のマネージャーがISOに係わっていくことが必要です。
※実際の事務作業等については『窓口』『まとめ役』等の担当が行っても構いません。


ISOとは、プロセスアプローチに基づきプロセスの管理体制を整えることです。

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プロセスを整えるには、必要な人やモノが不可欠ですが、人員を配置しモノや設備の購入を決定するのは『管理層(その他の関連する管理層)』です。
つまり、それらを行う権限を持たない者がISOの責任者となっても、ISOシステムと業務のシステムが切り離されて、マネジメントシステムはきちんと運用できません。

ISOでは、『事業プロセスとISOは一致している』ことが大前提です。(=ISOは業務そのものである)
部門の仕事はそのままISOの仕事になります。総務、購買、工務、製造部、品質保証等の各部門が責任をもって行動し、各部門のマネージャーがISOに係わっていくことが求められています。そうすることで、プロセスアプローチをしっかりと管理することができます。
各部門の責任を明確にし、判断基準を明らかにすることで、全員参画の元でマネジメントシステムの仕組みが作られます

責任者の役割が変わった
ISO 9001:2015以前、管理責任者は実際の事務的作業に関わる担当者として、ISOについてのすべての責任と権限を任されることが一般的でした。リーダーにより管理責任者が指名されていたため、ISO進捗管理の担当者がわかりやすいというメリットがありました。

しかし一方で、ISOのことはすべて管理責任者に任せればよいと誤解される傾向にありました。このことにより、通常の業務とISOに関する業務が分かれ、ISOのために余計な業務が増えたりムダなシステムが構築されてしまう要因にもなっていました。『事業プロセス』と『ISOシステム』が切り離して取り組まれ、「会社の業務として行うこと」と、「ISOのために行うこと」の2つに分けて取り組まれるケースもありました。

このため、ISO 9001が2015年版として改訂された際、『責任者』の位置づけが『ISOのみを担当する』ことから、全社的なマネジメントシステムを司ることへと変わりました。


責任者の力量

ISOがうまくいっている企業(ISOを組織のマネジメントシステムとしてきちんと組み込んでいる企業)と、そうではない企業(ISOが形だけになって、業務と結びついていない企業)との差は、責任者の力量にあるといっても過言ではないでしょう。
責任者のレベルは、そのままマネジメントシステムのレベルになります。

ISOの責任者となる管理層について、規格要求事項のなかで明確に求められているわけではありませんが、一定の力量をもつことが必要と思われます。
例えば、以下のような力量が求められると考えられます。
  • 規格の意図を十分理解していること
  • 責任と権限を自覚し、自分で判断できること
  • 経営者と要員との相互のコミュニケーションがとれていること
  • 革新的意欲があること
  • リーダーシップをとれること

事務局まかせではなく、各部門がISOを運用していくことことが求められています。