ISO認証取得後にすべきこととは? 効果的な運用とは?
ISOの「適合性」と「有効性」を知っておこう
ISOシステムは、認証取得後に運用しながら改善していくことでどんどんレベルアップするという継続的改善が基本です。認証取得はゴールではなくスタート。ISO構築後も運用しながら改訂を重ね、継続的にISOに取り組んでいきましょう。
しかし、ISO認証取得後…
- 思ったほどの効果が感じられない
- 内部監査や検証がマンネリ化してきた
- 目的や目標、次に何をあげたらよいのかわからない
- 業務効率は上がったが利益まで上がらない
こんな状況になることがあります。なぜでしょうか。
それは、ISOの「適合性」のみを重視し、「有効性」が十分に考えられていないからです。
ISO構築から認証取得へ
ISOの基本は、「ルールを決め、ルールを守り、ルールが守られているかどうかをチェックする」という仕組みを作ること。そして、第三者(ISO審査員)が審査したうえで認証されれば、ISOを取得できる。
早い話、ISO要求事項を満たしたマニュアルを作り、そのマニュアルに適合していれば、ISOの認証取得は可能。
これが「適合性」を考えたISO。
ISO取得後の運用へ
認証取得後、ISOを効果的に使うための運用及び、次回の更新審査に備えるための準備を行なう。
ISO要求事項やマニュアルへの『適合性』だけでなく、そのマニュアルはきちんと機能しているか、組織にとって有効であるかまで考える。
これが「適合性」+「有効性」を考えたISO。
ISO認証取得後にすべきことは、『有効性』をしっかり考えることです。
ISOを活用するには
ISOは長期的な目線で取り組もう
ISOを活用するための最適な方法は、ISOを会社の『プロジェクト』として考え、長期的な目線で捉えることです。つまり、会社として将来どうなりたいかを意識し、ISOの様々なシステムをそれに向けたプロジェクトとして考えます。
そのためには、何のためのISOマネジメントシステムなのかを自社なりに考え、目標をしっかりと設定することが大切です。
ISOを短期的な目線で取り組むと…
よくあるケースですが、ISOシステムを取り入れることにより、コストダウンやリストラといった、目先の利益や効率を重視した短期的な計画を立てることがあります。
一見、無駄を省いて合理的に業務を進められるようになった…ように思われますが、安易に人減らしを行ったがために、残った人間に仕事が集中し、効率が下がる、ということもあります。また、いつかクビになるかも、という思いから、会社全体の士気がさがり負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。
これでは何のためのISOなのかわかりません。
会社として何をしたいのかが見えていないため、ISOを短期的な目線で捉えてしまい、このようになってしまいます。
そういった会社は認証取得後に、
「この程度で認証できたんだから、余計なことをしなくても良い」
「これ以上のことをする必要はない」
と安心してしまう傾向にあり、更なる改善を図ることをしません。
認証取得したISOマニュアルをそのままを維持しようとする風潮になり、ISOが形式的な位置づけになり、効果的な運用は期待できなくなります。
目標と目標達成の方法を考えてみよう
ISOを活かし、何を実現しようとするのかを意識することが、認証取得後2年目、3年目以降、特に大切になってきます。
何をしたいかにより、重点項目はそれぞれ異なってくるでしょう。
ISOを取得する目標例 | 目標を達成するには |
---|---|
ノウハウ継承のため | 作業手順や合否判定基準をできるだけ「見える化」したり、社内研修のあり方を見直す ISO 9001 規格要求事項「 7.1.6 組織に必要な知識を明確にする」「7.2 計画的に身に付けさせる」など |
意識掲揚のため | 個人個人の目標を明文化し、達成度を競いあう ISO 規格要求事項「4.1、4.2 課題の整理」「6.1 リスク及び機会の明確化」「6.2 目標設定」 |
業務改善のため | 工程フローを見直し、様式にダブりがないか、本当にこれは必要な書類なのかなどを検討する ISO 9001 規格要求事項 「7.1 プロセスアプローチ」の観点で「人」「設備」「手順」を見直し |
コストダウンのため | コストアップにつながる要因を分析し、日常的にチェックする仕組みを作る ISO 9001 規格要求事項「 8.1 プロセスの基準設定」「9.1 分析及び評価」「10章 改善」する流れを定着 |
ISO認証取得後にすべきこと
ISO認証取得後には、単に「規格要求事項を満たしているか」「ISOマニュアル通りに運用できているか」だけではなく、「ISOは自社にとって効果があるものか(有効性)」を追求することが重要です。
有効性を考えたISOに取り組むための具体的な活動例を以下に挙げています。
- レベルアップのための規格解釈
- 自分の会社にとって何が必要なのかを考えた上で、自社にふさわしい規格解釈を行う。
- マニュアルのスリム化
- ISOを構築して年月が経過して使いづらくなったマニュアルをスリム化することで、運用しやすいシステムを再構築する。
- 内部監査を最大限に活用
- 内部監査を徹底的に活用できるよう、しっかりとした内部監査員を養成し、『規格に適合しているかどうか』だけでなく、『構築したISOシステムが効果のあるものかどうか』を見る監査ができるようにする。
- 目的展開
- 経営向上につながる目標を決定できるようにする。たとえば、 全社として掲げる目標と、サイトまたは部門ごとに取り組む目標を区別して立てる、 『目標』と『日常管理』を分けて考えるなど、具体的で意味のある目標展開ができるようにする。
- 従業員の教育
- 従業員の教育は継続的に行うことが重要。自覚教育を促す仕組みや、下からの提案、意見を吸い上げる仕組みを作れるようにする。
- データの活用
- 改善に必要なデータを理解し、それを活用できるようにする。プロセスの監視をデータで行えるようにする。
- 各種要素の利用
- 組織を取り巻くさまざまな要素を積極的にISOシステムに取り込んでいけるようにする。たとえば、法的要求事項をプラスに活用する、業界規範に対応させる、資金を考えた仕組みを作るなど。
ISO認証取得後の運用支援
アイムスでは、ISO認証取得後の企業様を対象に、取得後の運用支援を行っております。
- ISOをうまく運用できない
- 何をすればよいのか分からない
- もっとISOを有効に活用したい
- 既存のISOに、別のISOも取得し統合させたい、または複数のISOを一本化したい
このようなお悩みやご希望がございましたら、ご相談ください。
ISO取得後の運用については、会社の状況をうかがった上で最適なご支援をさせていただいておりますが、基本的な支援方法は以下のとおりです。
ISO運用支援コンサルティング基本パターン
対象 | 何らかのISOマネジメントシステムを取得されている企業様 |
期間 | 1年間顧問契約 (以降、希望される場合は継続できます) |
回数 | 4回(3ヶ月に1度程度のペースで訪問し、御社の運用について指導いたします。 |
原則として年間契約(4回)でお見積しますが、「マニュアルのスリム化だけ」「社員教育だけ」などのご希望がありましたら、「スポットコンサルティング」として、訪問回数に応じて契約することも可能です。
アイムスの運用支援を受けられた企業様からは、以下のような御感想をいただいております
- 社員のコスト意識、安全意識が上がった。
- ISOが業務そのものになった
- QC活動を通じて行われていた改善が、内部監査によって行われるようになった。
- ISO構築時にこういう勉強が出来たらよかった…(というコメントも)