ISO 22000、FSSC 22000における、PRP、OPRP、CCPの考え方と違い、管理基準の決め方について理解し、効率的に食品安全ハザードを防いでいきましょう。

食品安全マネジメントシステムでは、すべての工程を何らかの形で管理することで食の安全を守る、ということが基本的な考え方です。
ハザード評価を行った結果、以下のいずれかの手段で管理を行います。

  • 重点的に管理が必要な工程は → ハザード管理プラン(CCPまたはOPRP)
  • ハザード評価に関係なく基本的な衛生管理を行うべき項目は → PRP

CCP(HACCPプラン)

著しい危害が発生することが想定されるポイントについては、重点的に管理が必要(重要管理点:Critical Control Point)な工程として、HACCPプランに基づいた管理を行います。

OPRP(オペレーションPRP)

食品安全に致命的な影響を与えるわけではないが、十分に注意を要するポイントについては、日常的な衛生管理(PRP)よりも少し厳しく管理します。

PRP(Prerequisite Program:前提条件プログラム)

食品安全のための「前提」となるべき「条件」を決め、日常的な衛生管理を行います(※手洗い、個人の衛生管理など)。
PRPは、食品安全が起こる可能性を低減させる手順方法ですが、生産活動には直接関連するものではありません(工程の一部ではない)。

管理手段は、食品安全危害(ハザード)が現実に発生する可能性、食品安全危害(ハザード)が起きた場合の結果の大きさ、モニタリング実施可能性、発生時の処置のしやすさなど、さまざまな状況を考慮した上で決定します。

例えば、乳製品などは「食中毒が起こりやすい」「食中毒で身体に影響が出やすい」という重大なリスクがあります。
リスクが管理できていることを証明するためには細菌検査」が必要です。
しかし、細菌検査には時間がかかるため、結果が判明する頃には商品は出荷されています。

だから、システム全体で見ることが大切です。
製品検査ではなく、逸脱が起こる可能性があるところを特定し(この場合、殺菌工程)、その工程が適切に運用されていることをもって安全性を担保するというのがCCPの考え方です。工程全体のどこで危害を食い止められるかを考えます。

危害が発生する可能性や発生した場合の影響が大きい工程は、必ずCCP(重要管理ポイント)にすべきである、とは限りません
測定可能かどうか、タイムリーに検出できるかなどの条件を考慮して判断することが求められています。

CCPOPRP
基準の名称許容限界処置基準
基準の特徴測定可能
(許容限界を順守することで製品の許容水準を超えないこと)
測定可能 又は 観察可能
(処置基準を順守することで製品の許容水準を超えないこと)
モニタリング方法及び頻度タイムリーに逸脱を検出できる
(製品の隔離及び評価がタイムリーにできる)
逸脱の起こりやすさ及び結果の重大さと均衡がとれている
逸脱時の製品への処置すべて不適合品として処置を行う一度隔離したうえでこのままリリースできるかどうかを評価する
 →評価したうえで、問題なければそのままリリース
 →問題があれば不適合品として処置
ISO22000:2018におけるCCPとOPRPの違い

ISO 22000では、PRPの項目は次の11項目と定められています。

  1. 建物の構造・レイアウト、付随設備
  2. 作業スペース、従業員用設備等の施設のレイアウト
  3. 空気、水、エネルギー等の供給
  4. 廃棄物・排水の排出
  5. 工程機器の洗浄、保守、予防メンテナンスに対する適切さ
  6. 購入原材料・資材、水・蒸気・空気・氷等の供給、廃棄物・排水等の排出、製品の取り扱いに対する管理
  7. 交差汚染防止対策
  8. 洗浄・消毒
  9. 虫類・動物の管理
  10. 人員の衛生
  11. その他の必要事項

ただし、具体的に何を行うと言った基準は定められていません。国や地域、業界等により、いくつもの衛生標準が存在します

FSSC 22000では、PRPの項目はISO 22000と同様ですが、「その他の必要事項」が具体的になっています。また、実施すべき内容はISO/TS 22002シリーズに従うことになっています。