
ISOシステムの縁の下の力持ち! 「支援」の流れを理解しよう
- 組織の状況を把握し(要求事項4章)、目標を明確にし(5章)、リスクおよび機会に対する計画も決定したら(6章)、計画が実行できるように支援体制(人、設備、作業環境、教育機会など)を整えます。
- 支援の流れについて正しく理解しましょう。
- 計画が実行できるように支援体制(人、設備、作業環境、教育機会など)を整えていきましょう(ISO要求事項 7.1)。
「支援」の流れ
「支援」においてすべきこと
ISO規格要求事項の4、5、6章において、現在の課題を明確にし、目指すべき方針(目標)を決め、それらを実行する上でのリスクおよび機会に対する対応について決定します。
これらの計画を実行するにあたって、人、設備、作業環境、教育機会等を見直し、必要なサポート体制を整えるのが「支援」です。
社内の体制を明確にして、個人個人バラバラではなく、標準の作業手順書などを整えます。
自社が目指す方向に対してサポートできるような体制をつくっていきましょう。
「7章 支援」の流れをおさえておこう
支援のためのシステムを整えるためには、まずはISO要求事項 7章の流れを整理しておきましょう。
- 7.1 【資源】必要な資源を明確にする。
- 7.2 【力量】 業務を行うのに必要な力量を明確にし、力量を満たすための教育を行う。
- 7.3 【認識】 なぜその力量が必要なのか、一人一人に認識させる(自覚教育)。
- 7.4 【コミュニケーション】 力量、認識の教育を行っても補えない部分は、コミュニケーション」で共有化できるようにする。
- 7.5【文書化】 上記の仕組みを目に見える形で確実に共有化するために文書化を行う。
7.1 資源
まずは、必要な資源を明確にします。
- 必要な資源とは
- 組織で働く人々(7.1.2)
- 機械や設備などのインフラストラクチャー(7.1.3)
- プロセスの運用に関する環境(7.1.4)
- 監視用および測定用の資源(7.1.5)
- 個々のスキルを会社として守るべき共通の知識(7.1.6)※知識についてはこちらで解説
プロセスアプローチで資源を整理する
7.1「資源の管理」は、規格によって多少表現が異なっていたり、一般的な記載に留められている場合もありますが、ISOにおける「資源の管理」は、プロセスアプローチとして整理してみましょう。

プロセスアプローチでは、インプットとアウトプットを適切に管理するために、自身のプロセスにおいて、誰が(業務に必要な力量のある人)が、何を用いて(必要な設備)を、どのように(適切な手順で)使うかについて決めます。
これは、4M管理(マテリアル、マン、メソッド、マシン)と言われるプロセスアプローチの考え方です。
また、作業する場所が不安全、不衛生な場所だと、良いものづくりや良いサービスを提供ができない可能性があるため、作業環境についても管理を行います。
自社だけで資源を準備できない場合は、外部に委託する部分についても明確に定義し、準備を行っていきます。
何らかのリスクが生じた際に、個人の経験則や力量ではなく全社で対処するシステムを整えるためにも必要な資源を明確にします。
プロセスアプローチで資源を整理する
支援体制を作る際は、要求事項の4章で明確にした組織の目標(意図した結果)や、6章のリスクおよび機会(望ましい、または望ましくない状況)に対応して、自社の資源を整えていきます。
例えば、新サービスを打ち出すにあたり、自社の資源を確認してみましょう。
「新サービスを出す」という目的に対し、例えば「既存のインフラで十分に対応できるのか」「問合せに適切に対応できるようにスタッフの教育は十分なのか」「説明資料に不備がないのか」 などを見直します。
見直した結果、目標に対して具体的に行動するための準備を整えていきます。
例えば、「今年は2人雇う」「個人個人バラバラではなく共通の手順書を作る」「教育を1からやり直す」「必要に応じて外部から専門家を雇う」など、目指す方向に対してサポートするような体制を作ります。
現在の課題を明確にして目指すという方針を打ち出し、具体的に今年やるべきこと、今からすべきことを明確にし、これらが実行できるような体制を作ります。
営業からシステム整備、サービス提供、アフターフォローを含め、トータルで最もよいパフォーマンスを追及するために、本当に自社にとって必要な資源が整えられているかを理解し、確認していくことが「支援」です。
7.2 力量
力量とは個人の能力ではなく、知識(ノウハウ)どおりに実施できる「業務に必要な力」のことです。
業務をこなすために必要な能力、知識、技能、資格などの職能を力量として定めます。
「業務に必要な力量」を明確にしたうえで、力量を満たすために必要な教育を行います。
7.3 認識
力量を身につけるだけでなく、それを実行しなければいけないという自覚を持つことが大切です。
「自分はなぜこの仕事をする必要があるのか」をひとり一人が自覚できるようにすることが、「認識(Awareness)」です。
「7.2 力量」の教育訓練は、業務に必要な能力を身につけるための処置であり、力量を満たしていない場合に行うものです。
「7.3 認識」の教育訓練は、決められた手順がなぜ必要なのかを改めて伝えていく教育です。力量とは違い、頭では理解していても、個人の勝手な解釈などで、次第に手順等が守られなくなることもあるため、継続的に教育を行うことが求められます。
7.4 コミュニケーション
組織が求める人材(力量)を明確にし、それを教育によって認識させても、いつもと違う状況が生じた際は、その都度情報として伝え、共有していく必要があります。
社内でのコミュニケーション活動を通じて認識を促すために、コミュニケーションの方法(ホウレンソウ/報告連絡相談、指示者から現場に対するコミュニケーション、現場から上長に対しての報告など)を取りまとめます。

しかし、教育やコミュニケーションだけでは共有できないものもあります。
そこで「文書化」です。
7.5 文書化
文書について考える前に、7.1から7.4までの流れを整理してみましょう。
7.1(資源):組織に必要な資源を明確にする(知識を含む)
7.2(力量):資源を運用するために、必要な力量を明確にし、教育する
7.3(認識):技能だけでなく、必要性を理解させる
7.4(コミュニケーション):正しく理解された人に、適切なコミュニケーションを行う。
教育やコミュニケーションだけでは、仕事を進めていく上でのすべてを伝えることはできず、「言った、言わない」と揉めることも起こりえます。
この際、例えば「指示書」などの文字として指示を出せば、それが「言った」という証拠になります。
ISOマネジメントシステムでは正しくコミュニケーション、情報伝達することで、全員が共有して理解できることを目的としています。
共有して理解するためには、目に見える形が必要です。
だから、教育やコミュニケーションで伝えられないスキルやノウハウを文書化します。
文書化ありきではなく、あくまでもコミュニケーションとして、全員が共有する手段である「文書化したもの」を準備しましょう。
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