ISOを取得すると、どんなメリットがある? 3つに絞ってメリットを紹介
PDCAの仕組みが作られる
ISOの大きなメリットは、ルールを作って(Plan)、ルールどおりに実施し(Do)、ルールが守られているかどうかをチェックし(Check)、ルールをさらによいものへと改善させていく(Act)というPDCAの仕組みが作られるということです。
PDCAの仕組みが作られることによるメリット
組織としてのルールを作り(P)、そのルール通りに実施できるようにするため、作業手順を明確にし、誰もが同じ手順で作業できるよう作業の標準化を行います(D)。そして、そのルールが守られていることを適宜チェックしていきます(A)。
このような流れが出来上がると、次のような成果が現れることが期待されます。
- 全員が同じ手順で効率よく作業できるようになるため、時間や作業工程のムダが省けるようになる。
- 作業に対して確認をする習慣ができるようになる。
- 新入社員、派遣社員などが入ったときや、アルバイト、パート社員などの入れ替わりの激しい職場でも、短期間で他の社員と同様の作業を行えるようになる。そのための教育を行う仕組みも、会社内に構築される。
- 規定書、標準書作りを通して、作業の見直しが行われ、組織の能力が上がる。
- 何かトラブルが生じても、「たまたま」とか「誰かのせい」にするのではなく、システムとして原因を追求するため、対処がスムーズになる。
- クレーム対応を含む、顧客からの問い合わせに対し素早く正確に対処ができるようになる。
ルールが存在しない、あるいはルールはあるが、その通りに実施されていない場合は、まずはルールを作り、ルール通り実施し、ルールが守られているかチェックすること(PDC)を徹底していきましょう。
『A』の仕組みが作られることによるメリット
PDCができたら、「A(改善)」についても取り組んでいきます。
- PDCを行ったうえで、ルールどおり行うことで不都合があれば見直したり、現在特に問題はなくても、もっとよいルールはないかを継続的に確認することで、さらに業務の質や労働環境も高まっていきます。
- 長期的な経営計画に基づいてマネジメントシステムを構築し、内部監査や第三者による審査等を行うことで、継続的に改善を行う企業風土が醸成されます。
ISOを構築した当初は、システムを構築することで精一杯で、『効果』を実感できない企業も多いようです。しかし、ISOシステムは『継続すること』で効果が出る仕組みになっています。
認証取得はあくまでスタート、取得後の各取り組みによって、効果が表れます。
責任と権限がハッキリする
ISOの基本は『人に仕事をつける』ではなく『仕事に人をつける』です。個人ではなく組織全体を管理するために、漠然としていた業務手順・役割・責任・権限が明確になり、「個人の能力」ではなく「組織として必要な力量」がはっきりします。
責任と権限が明確になることによるメリット
- 『どこで、誰が、何をしているのか』ということが明確になるため、「ムダなもの」と「必要ないもの」がはっきりする。
- 保存すべき書類と不要な書類が明確になるため、保管文書の管理が容易になる。
- リーダーや上司の思いつきではなく、システムに沿って業務を行えるようになるため、トラブルが生じてもシステムとして解決しやすくなる。
- 従業員は、リーダーのもとで働いているのだという自覚を持ち、全員が一丸となって「会社をよくしよう」と取り組むため、会社全体のムードもよくなる。
第三者審査による信頼がある
ISOを取得しているからといって、取得していない企業に比べて優れているかというと、そうとは限りません。しかし、ISOには「第三者による審査」という最大の特徴があります。
第三者(ISOの審査員)に対し、自分たちのルールを公開し、そのルールをきちんと守っていることを示すことで、「認証」がもらえます。 『認証』がそのまま『信頼』になります。
この会社は決めたルールどおりに実行しているという証にを示すことができるというのは、ISO以外にはありません。 企業内で独自の管理システムを構築できる大手企業よりも、それが難しい中小企業による取得が目立つのもそのためです。