トップマネジメントの責任と権限を明確にして、ISOシステムと業務プロセスを一致させましょう。
トップマネジメントは責任権限を明確にする
トップマネジメントが描いた未来図を達成するために、具体的に誰の責任で行動するのか、誰の判断で行うのかという役割を明確にし、責任権限を明確にしておく必要があります。
業務の決定権を持つ人がISOに関わろう
ISOでは、プロセスアプローチに基づきプロセスの管理体制(5M)を整えることが求められています。
(※5M:資源(Material)・設備(Machine)・人(Man)・方法(Method)・基準(Monitoring)
プロセスを整えるためには、人やモノが不可欠ですが、実際に人員を配置したりモノや設備の購入を決定するのは「管理層」です。
つまり、それらを行う権限を持たない者がISOの責任者となっても、マネジメントシステムはきちんと運用できません。
総務、購買、工務、製造部、品質保証等の各部門が責任をもって行動できるよう、各部門のマネージャーがISOに係わっていくことが必要です。
ISOでは、事業プロセスとISOは一致していることが大前提です。
ISOは業務そのものであるとされるため、部門の仕事がそのままISOの仕事になります。
実際の事務作業等については「窓口」や「まとめ役」等の担当が行っても構いませんが、ISOを担当する責任者は、「ISOのみを担当する」という位置づけではなく、「全社的なマネジメントシステムを司る」という役割が求められています。
責任者の位置づけ
ISO 9001:2015以前、管理責任者は事務的作業に関わる担当者として、ISOについてのすべての責任と権限を任されることが一般的でした。
しかし、ISOのことはすべて管理責任者に任せればよいと誤解されることもあり、「組織の業務として行うこと」と「ISOのために行うこと」が切り離され、それぞれ別のシステムが作られるケースもありました。
そういったことが、余計な業務が増えたりムダなシステムが構築されてしまう要因にもなっていました。
このような状況を改善するため、責任者の役割も変化したのです。
事業プロセスとISOシステムを一致させよう
リーダーは、自らが「意図した結果(自社が目指すべき方向性、こんな会社になりたいという方向性)を、具体的に実現できるよう、各部門の責任、権限を明確にします。例えば、
- 柔軟に商品開発をし続けていくことを目指すなら…
- 開発等に権限を与え、スピーディーな開発ができるようにする
- 試作を中心に顧客に寄り添う会社を目指すのなら…
- 試作対応ができることを営業が積極的に顧客に伝え、現場も臨機応変に対応できる生産管理を行うための体制を作る
このように自社はこんな組織を目指すので、「部長はこんな仕事をしてほしい」「課長は…」「営業部は…」「事務は…」と、組織内部の権限を明確にすることが、「事業プロセスとISOは一致している」という状態です。
ISOをもっと理解する!