Satoshi  MIMURA

三村 聡

私は
『コンサルティングの仕事をする人』
ではなく
『コンサルタント』でありたい。

1.コンサルタントの仕事

ISOとは簡単に説明すると、ISO規格に沿って組織内にISOシステムを構築し、ちゃんとシステムが構築されているかどうか「審査」を受け、審査機関から「認証書」をもらう「だけ」の仕組みです。
システムの構築の仕方についての話はここではしませんが、コンサルタントはそのシステムを構築する(認証書を取得する)ための指導を行います。

これが、ISOコンサルタントの「最低限の仕事」です。
ISOコンサルタントを名乗る人であれば、審査に通る程度のシステムを構築することはできます。このため、ISOコンサルタントは経営のコンサルティングというより、むしろ書類作成業務を主とする行政書士などの方が、業務内容としては近いとされることもあります。

コンサルティングの「成果品」の一つは「認証書(認証マーク)」でしょう。これは間違いではありません。ISO取得を目指す組織は、認証書を求めてコンサルタントの支援を受けるという面が大きいからです。そして、組織側が「認証マーク」のみを目標とするのであれば、互いの利害も一致し、十分にISOコンサルタントとして仕事ができます。

しかしこれは、ISOコンサルティングというよりも、「ISO認証取得代行業」と言えるのではないでしょうか。

2.コンサルタントの課題

私はこれまで百数十社の企業様に対し、ISO構築・運用支援コンサルティングを行ってきました。

ISOコンサルタントは、キックオフから認証取得までの一連の作業(主にマニュアル作り)が済むと、支援企業様との縁が切れてしまうことが多いのですが、私の場合、認証取得後の企業様から相談を受けることも少なくありません。

例えば、認証取得後に『内部監査員研修』を何年も継続して依頼されるお客様がいます。
「今度、新たにセキュリティシステムを導入することになったので、マネジメントシステムを見直したい」と相談を受けたこともあります。
また、認証取得済みのお客様から、取得後の活動がどうもうまくいかない、ということで、ISOの運用支援の依頼を受けることも数多くあります。

いずれも、単に認証取得するだけではなく、会社としてしっかりとしたシステムを築いていきたい…と前向きにISOを捉え、しっかり活用していこうとしている企業様です。

私のコンサルティングを受けていただいたISO事務局の方、経営者様、パート・アルバイトを含めた一般社員の方から、『ISOがこんなにわかりやすいとは思っていなかった』とよく言われます。 それは、組織の中に既に眠っているISOの種に気づいていただけたからです。私は、組織の中のISOの種を掘り起こし、土壌を整え、花を咲かせるお手伝いをしているだけです。

ISOはそもそも組織の経営をよくするための仕組みです。それを正しく理解し、会社のそれぞれの事情に合わせてコンサルティングをすること、それが私が考えるISOコンサルタントの仕事です。 どんな会社であっても、ISOで会社の経営改善につなげていくための道は必ずあります。ISOで成功している会社は、広い視点を持って、さまざまな方法でISOを活用しています。

自分が持っているISOの知識を組織にそのまま渡し、認証取得代行を行うだけのコンサルタントか。
それとも、組織のそれぞれの立場を理解し、組織にあったISOの構築を導くコンサルタントか。

どちらが正しいとは言えないのが、今のコンサルティング業界の現状です。
しかし私は、少なくとも「コンサルタント」を名乗るなら、後者であるべきだと考えています。

3.コンサルタントに必要なこと

認証取得代行業務ではなく、コンサルティングを行うために必要なコンサルタントのスキルとは、これまでの経験やISOの知識、審査の視点だけでなく、「産まれてから今までのすべて」だと、私は考えています。

といっても、私は幼少時からコンサルタントになるための英才教育を受けてきたわけではなく、学生時代の専門が「ISO」というわけでもありません。何らかのコンサルタントを名乗る人々の中には、幼い頃から何らかの専門的なことに特化して教育、学習などをしてきたり、強い関心を持ってきた人もいますが、経営コンサルタント、特にISOコンサルタントには、そういった人は少ないように思います。

ただ、幼い頃から大学に行くまでの環境、大学院までで身につけた知識や専門性、ISOコンサルタントになるまでの業務、自分の趣味や趣向など、コンサルタントとしての自らのスキルとして役に立っていることはいくつかあります(詳しくは下記リンク『コンサルタントになるまで』へ)。

これらにプラスして役立つと思えるのは、私が「経営者」であることです。「有限会社の代表取締役」というのが私のポジションです。
経営者として最大の使命は、自分の会社を守ること。会社が潰れたら、その会社の経営者である自分自身も、そこで働く人々もその家族も潰れてしまうことになります。立派な理念を掲げ、優れた製品やサービスを世に送り出しても、会社が守られていなかったら何もなくなってしまいます。

会社を守るためには、経営をしっかり行い、行い続けなければなりません。 かつて、IT起業家が雨後の筍のように出てきては消えていきました。時代の流れによって、瞬間的に儲けても、やがて淘汰されていきます。
私も自分の会社を守り、守り続けていくために必死で頑張りました。時代も周囲の状況も変化していく中、ISOコンサルティング会社としてのポジションを守り続けました。 もし経営者でなければ、絵空事ばかり述べていたかもしれません。
経営者としてのその立場は、ISOコンサルティングを行う上で大きな影響を与えていると言えます。

コンサルタントとして仕事するようになってからも、四六時中ISOのことばかり考えているわけではありません。好きな野球チームを応援し、酒を飲み、歌舞伎や演劇を見たり博物館や美術館に行ったり、旅行したりしています。電車に乗り、ゴミ出しをし、ペットボトルのお茶を飲み、整体に行き……。 日々、いろいろなことを経験しながら生きていますが、コンサルタントとして、その全てがスキルだと思っています。

「コンサルティングの仕事をする人」ではなく、「コンサルタントである人」

という気持ちで、私はコンサルティングを行っています。

※本ページの内容は、アイムスサイト『コンサルタントという仕事』より抜粋しています。

三村 聡 プロフィール

所 属有限会社アイムス 代表取締役 
専 門マネジメントシステムコンサルタント
(ISO9001、ISO14001、ISO22000 他)
略 歴1969年 広島市生まれ。九州大学大学院農学研究科修了。
1999年、福岡市にてISOコンサルタンティング会社「アイムス」設立。
全国のさまざまな地域にて、主に中小企業を対象としたISO等、マネジメントシステムのコンサルティングを行っている。
また、複数の大手コンサルティング会社経由にて、大企業のISOコンサルティングにも関わっている。
専門は農業・食品分野だが、それにとどまらず、サービス、製造、自治体等、幅広くコンサルティングを行う。
資格等所属:福岡県中小企業家同友会 会員
資格:農学修士/ISO9001審査員(IRCA)/ISO14001審査員(IRCA)/エコステージ評価員
   フードアナリスト4級/企業情報保護士/環境社会検定(ECO検定)
著書等 マネジメントシステムの原理原則~品質マネジメント8原則で経営力を高めよう
(日科技連出版社 2009.6出版) 
 8ステップで効率的に進めるISO22000構築・運用マニュアル
(日刊工業新聞社 2007.9出版)
趣味等趣味
・マラソン、ジョギング(タイムは早くないが、10km、ハーフなどの軽いコースをのんびり走る)
・スポーツ観戦(出身地の球団“広島東洋カープ”をはじめ、野球観戦)
・好きな映画・ドラマ・・・『ミッション』『ハゲタカ』
・歴史(古代史、戦国時代、明治維新の時代、三国志 等。超古代文明も・・・)
・コレクション・・・手塚治虫コミック、ナショナルジオグラフィック

座右の銘
苦労する身は厭わねど、苦労し甲斐のあるように
おもしろきことなく世をおもしろく、すみなすものはこころなりけり